地方機関2本部・10支社をエリア単位の36事業本部に改組 JR東日本が来年7月に大規模機構改革(首都圏・東北圏など)

日本の鉄道界で長く続いてきた、本社、支社、現場のピラミッド構造が大きく変わる。JR東日本は2026年7月1日、全社規模の機構改革に踏み切る。最大のポイントは地方機関の見直しで、現在はおおむね都県ごとに置かれる本部、支社に代わって、線区やエリア単位できめ細かいサービス向上策や利用促進策を実践するための事業本部制に変更する。
現在のJR東日本の地方機関は、本社に非現業(企画部門)で現場を統括する首都圏(東京)、東北(仙台)の2本部と横浜、八王子、大宮、高崎、水戸、千葉、長野、盛岡、秋田、新潟の10支社が連なり、さらに現業(現場)機関の駅、乗務員区、車両工場などが所属する三層構造だ。
2026年7月の機構改革では、支社を細分化した上で現業機関と一体化する二層構造に改める。
具体的には、2本部・10支社を廃止して、エリア機関として36の事業本部を新設する。事業本部の設置エリアは文末の通り。東北、北関東、信越はほぼ県単位ながら、首都圏は線区を基本にきめ細かく担当を分ける。
例えば、東京(都)には東京、品川、新宿、上野、渋谷、池袋、八王子、立川の8事業本部を置く。千葉(県)も千葉、房総、京葉総武、松戸とほぼ線区単位の事業本部制を敷き、地域密着の営業体制を実践する。
最近の鉄道業界はダイヤや新駅設置、サービス改善などについて線区単位、駅単位のきめ細かい要望が増える。機構改革後のJR東日本は、事業本部による地域密着でスピーディーに対応する。
鉄道ファン目線では、支社発で発表されるケースが多い、イベントや企画きっぷの情報がどのように発信されるかが注目点といえそうだ。
一方で、事業本部制への移行は、今後本格化する人口減少社会にあって人材確保を円滑化する狙いもある。非現業、現業の壁をなくして社員のやる気を引き出す。
JR東日本は、機構改革に先立つ2026年4月1日(一部同年7月1日)から、社員の給与体系を見直し。基本給を「職務能力給」に改めた上で、仕事への取り組みや成果をきめ細かく昇給に反映させる仕組みを整える。
今回、1年以上前の早期発表になったのは、現在のグループ経営ビジョン「変革2027」を引き継ぐ、新しいグループ経営ビジョンの発表を2025年夏に予定するため。新しい組織体制で新ビジョンの実効性を高める。
JR東日本が2026年7月の機構改革で新設するのは次の36事業本部。
青森、盛岡、仙台、秋田、山形、庄内、福島、浜通り、水戸、土浦、栃木、群馬、大宮、浦和、熊谷、武蔵野、千葉、房総、京葉総武、松戸、東京、品川、新宿、上野、渋谷、池袋、八王子、立川、横浜、川崎、湘南伊豆、新潟、長岡、山梨、長野、松本
記事:上里夏生
【関連リンク】