企画性やオリジナリティにこだわって造成された国内の鉄道ツアー商品を表彰し、鉄道ツアーならではの魅力を発信する「鉄旅オブザイヤー」も今年で11回目を迎えます。大宮の鉄道博物館では2022年4月20日(水)に授賞式が行われ、旅行会社部門の部門賞に選ばれた4商品から投票でグランプリが決定しました。

グランプリに輝いたのはJTBのツアー商品「貸切列車HOKKAIDO LOVE!ひとめぐり号で行く秋の北海道4日間」です。JR北海道最新の多目的気動車「キハ261系5000番台」で紅葉シーズンの北海道をゆったり巡るというもので、JR北海道×JAL×JTBの三社(三つのJ)によるコラボ企画でした。

ただ単に鉄道で移動するだけではなく、「JALふるさとアンバサダー」「JALふるさと応援隊」が乗車して車内アナウンスなどで旅行気分を盛り上げるほか、地元の方々もお出迎え・お見送りをはじめとしたさまざまなイベントで旅行客をもてなしました。

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審査員の榎本聖之さんは、「多くの事業者や各自治体が協力し合って完成したこのツアーは、その分各所調整も大変なことだったと思います。ただそれを乗り越えた分、随所に関係者のこのツアーに対する愛みたいなものを感じて、参加したお客様もきっとそれを感じながら旅をしていたのだろうと思いました」との評を寄せています。

見事グランプリに選ばれた鉄道ツアーを企画したJTBの松成諭さん(写真右)、日沼景子さん(写真左)

JTB松成さんは「徐々に列車の車内でお客様同士のコミュニケーションが増えていった」「リアルなコミュニケーションの場を作り上げていくのが旅行会社のつとめ。そのうえで鉄道という一つのものへ繋がっていくことを実感できた」(大意)とコメント。JTB日沼さんも、「三つのJが企業の枠を越えてお客様に楽しんでいただきたい、北海道を盛り上げたいという熱い気持ちで幾度となく打ち合わせを重ねて作り上げた」と、旅行客も含め全ての関係者に感謝の言葉を述べました。

鉄旅オブザイヤー実行委員長の(一社)日本旅行作家協会 芦原伸 専務理事は、コロナ禍が始まってからの傾向の変化に触れ、「以前は劇場舞台的な企画が多かった。今は逆にしっとり穏やか、内容的に充実した大人の感じがしてきました」と、鉄道ツアーそのものの成熟に言及、鉄旅オブザイヤー2021授賞式を締めくくりました。

授賞式で司会を務めたのは、おなじみダーリンハニー・吉川正洋さんとホリプロを卒業したフリーアナウンサーの久野知美さん。幕間ではホリプロマネージャーの南田裕介さんも交え、150年前の鉄っちゃんが現代日本の鉄道を見聞するという趣旨の鉄道トークも披露されました

今回の鉄旅オブザイヤーには、2020年11月~2020年12月までに催行(催行決定)された鉄旅(鉄道ツアー)83商品の応募があり、グランプリに輝いた「貸切列車HOKKAIDO LOVE!ひとめぐり号で行く秋の北海道4日間」がエスコート部門賞(団体旅行)、近畿日本ツーリストの「『伊予灘ものがたり(道後編)』に乗る5つの列車で四国一周の旅」がパーソナル部門賞(個人旅行)、JR東日本びゅうツーリズム&セールス・JR東日本盛岡支社「釜石線・三陸鉄道直通釜石線・三陸鉄道直通 『銀河リアス号』で行く”里と海のイイトコ取り”ツアー」がDC部門賞、日本旅行「271系新型ハローキティはるかで行く車両基地入線日帰りの旅」が鉄っちゃん部門賞をそれぞれ受賞しています。

またJTB「通って深まる旅の旅情、何度も通って地元の人々と心通わせる新しいスタイルの旅 いわて 三陸鉄道 通い旅」が国土交通省 鉄道局長賞、南海国際旅行の「南海・鉄たびシリーズ 第35回 紀州路ローカル線 鉄道遺産めぐりの旅」が審査員特別賞を受賞。そして一般鉄道旅行ファンから応募された81作品の中から、JTB トラベル&ホテルカレッジ(卒)渡邊瑞貴さんの「『江戸時代にタイムスリップ!』東海道新幹線で行く~東海道五十三次 聖地巡礼の旅~」がベストアマチュア賞に選ばれました。

記事:一橋正浩

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