ウエストエクスプレス銀河、DENCHA、リゾート雪月花…… 国際鉄道デザインコンペ「ブルネル賞」で日本の車両や駅施設が大挙受賞
世界の鉄道界を代表するデザインコンペ「ブルネル賞」の表彰セレモニーが先月、イギリス・ロンドンで開かれ、日本からは優秀賞と奨励賞をあわせて13件が受賞した。
ブルネル賞のイギリスの鉄道技術者、I.K. ブルネルに由来。1985年創設で、世界約20カ国の鉄道デザイナーが参加する国際グループが選考する。「駅舎」、「工業デザイン・グラフィック・芸術」、「技術インフラと環境」、「車両」の4分野で優秀賞と奨励賞を表彰する。以下、順不同で日本からの授賞プロジェクトを紹介。
駅舎部門で優秀賞を受賞したのが、JR東日本の「上野駅公園口駅舎」。東京都や地元・台東区と協業した駅舎整備では、近隣の都立上野恩賜公園や文化施設などとマッチする、シンプルで洗練された機能美を追求した。
車両部門の優秀賞は、JR西日本の「WEST EXPRESS 銀河」に。2020年運行開始の6両編成(117系電車の改造車)で、1両ごとに異なるデザインを採用。シニア世代から訪日観光客にいたる幅広い層に、JR西日本管内の魅力を伝える。
JR九州からはBEC819系「DENCHA」が受賞。電化区間はもちろん、非電化線区も走行できる国内初の交流電化方式の架線式蓄電池電車。JR九州の車両といえばあらためての紹介不要、水戸岡鋭治さんがデザイナーを務め、「人と地球の未来にやさしい次世代型車両」をコンセプトに内外装をまとめた。
もう一件、JR九州からは2022年9月の西九州新幹線開業で生まれ変わった「長崎駅」も駅舎部門の優秀賞に輝いた。
豪華観光列車に奨励賞
車両部門の奨励賞は、豪華観光列車で知られるJR東日本の「TRAIN SUITE四季島」、JR西日本の「TWILIGHT EXPRESS瑞風」、そしてJR九州の「36ぷらす3」が受賞した。

駅舎部門では、JR東日本の「新潟駅高架化プロジェクト」が奨励賞。JR九州の西九州新幹線「嬉野温泉駅」も、にぎわいを創出した成果を認められて同賞受賞が決まった。
私鉄からは、東急電鉄・東急の「池上線池上駅改良・駅ビル開発」、「池上線戸越銀座駅と旗の台駅・木になるリニューアル」が奨励賞に決定。東武鉄道の「SL復活運転プロジェクトに伴う施設整備(下今市駅・下今市機関庫・鬼怒川温泉駅ほか)」、「南宇都宮駅リニューアル工事」が推薦賞を受けた。
第三セクター鉄道初の奨励賞受賞が、新潟県のえちごトキめき鉄道の観光列車「リゾート雪月花」。大きな窓や高品質の内装、車窓を楽しみながらの食事と、トータルの鉄道サービスが高評価された。
ブルネル賞は今回が13回目。表彰選考は2014年以来11年ぶりで、世界各国から120件超の応募があった。日本の鉄道界が、いわゆる旅客輸送から観光列車に代表される移動の魅力演出にシフトする時期にも重なって大挙受賞につながった。
記事:上里夏生
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