「流氷物語号」などに使用されるキハ54。2019年の「SEA TO SUMMIT」オホーツク大会では特別列車として運行された(写真:kiki / PIXTA)

ウィズコロナ時代のニューノーマル社会をむかえ、鉄道会社に期待されるのは地域観光を立て直すリーダーの役割。全国の鉄道事業者は異業種提携などの取り組みを進め、地域に新風を吹き込もうと張りきる。

JR北海道は、大阪市西区に本社を置くアウトドア用品メーカーのモンベルと、「地域活性化についての連携と協力に関する包括協定」を結んだ。多くの自然観光資源がある北海道内各地で、環境に配慮したサステナブルツーリズムを実践し、活力ある地域づくりをリードする。

JR北海道が、他企業と包括連携協定を締結するのは初めて。アウトドア業界の企業と連携するのも、今回が第一号だ。モンベルは2018年2月、日本航空(JAL)と同趣旨の協定を結んでおり、今回はJALが仲立ちして鉄道とアウトドアの異業種連携につながった。

協定書を示す島田JR北海道社長(左)と辰野モンベル会長(右)(画像:モンベル)

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両社の協定内容は、①自然体験の促進による環境保全意識の醸成、②子どもたちの生き抜いていく力の育成、③自然体験の促進による健康増進、④エコツーリズム促進による地域経済振興――など。期間は1年間だが、特段の理由がない限り自動で更新される。

連携で計画する地域活性化やサステナブルツーリズムでは、JR北海道のウォーキングイベント「JRヘルシーウォーキング」にモンベルが協力。2023年9月に北海道で開催される、国際イベント「アドベンチャー・トラベル・ワールド・サミット(ATWS)」に向けた共同事業も構想する。また2019年度から開催する「SEA TO SUMMIT」オホーツク大会への協力として、網走~浜小清水間での臨時列車の運転を継続する。

オホーツク海沿いの北見市、大空町、網走市、小清水町を結ぶ「ジャパンエコトラック」を活用するコラポ事業のイメージ(資料:JR北海道)

札幌市のJR北海道本社での締結セレモニーでは、JR北海道の島田修社長とモンベル創業者の辰野勇会長が相互協力を約束した。

記事:上里夏生