南武線 向河原駅前(写真:イデア / PIXTA)

連続立体交差化が進んだ昨今はあまり聞かなくなったが、一向にしゃ断機が上がらない踏切を「開かずの踏切」と表現する。JR東日本横浜支社は2022年12月ごろから、川崎市中原区の南武線向河原駅前踏切を改良して、踏切警報時間を短縮する。改良後のネーミングは、名づけて「賢い踏切」。

賢い踏切の正式名称は「踏切警報時間制御装置」。川崎―立川間を結ぶ南武線には、通常ダイヤで、各駅停車(緩行)と快速の2種類の列車が運行され、向河原駅には各停だけが停車する。警報時間を短縮する向河原駅前踏切は、駅北側(立川寄り)にある。

一般の踏切は、列車が警報開始点を通過するとスイッチが入って警報音が鳴動し、しゃ断器が降りる仕組み。現在の向河原踏切は、緩行でも快速でも開始点は共通だが、賢い踏切は列車種別を識別して、停車列車は警報開始点を遅らせる。

賢い踏切導入前後での遮断時間の変化(資料:JR東日本横浜支社)

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河原駅前踏切への「賢い踏切」の導入効果は、列車運行状況や速度などで変わるが、列車本数がピークの朝の通勤通学時間帯をみれば、1時間当たり数分程度の警報・しゃ断時間の短縮につながる見通しだ。

記事:上里夏生