片手にドローン、片手にタブレット端末 変わる鉄道の現業セクション 鉄道保守の仕事を選ぶという就活の選択肢【コラム】

2022.07.30

地下を走る東京メトロが地上に顔を出す丸ノ内線御茶ノ水駅付近(写真:Ryuji / PIXTA)

今回は「鉄道で働く」のテーマで考えましょう。本サイトをご覧の学生さんや若い皆さんには、「将来は鉄道で働きたい」と考える方もいらっしゃるでしょう。鉄道会社には表に出る運転や駅関係だけでなく、計画、総務、財務から保線、車両整備、電気、さらには関連事業(駅ビル、ホテルなど)まで多種多様な仕事があります。

鉄道の現場での新しい仕事のやり方を紹介する機会を探していたところ、最適なセミナーがあることを知って聴講しました。鉄道の保守といえば、「真夜中の重労働」の印象をお持ちの方も多いと思います。しかし最近は、トンネル点検はドローン、検査結果は現場で直接タブレット端末に入力と、業務改革が進みます。ここではセミナーをもとに、鉄道現場の最新事情をご報告。本稿をご覧いただき鉄道の仕事に興味を持つ方が現れれば、これほどうれしいことはありません。

「土木構造物の統合的な維持管理体制」

鉄道業界、特に関連会社などの取材時、しばしば耳にする「現業社員・職員募集では、思うように採用できない」のフレーズ。それが本コラム執筆のきっかけです。

聴講したのは、2022年7月20~22日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開かれた「メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2022」。何やら難し気なネーミングですが、ロボットやドローンなど新しい技術で、メンテナンスを近代化するための展示・商談会です(主催は日本能率協会)。

鉄道業界からは、東京メトロ工務部土木課の大藤正和課長補佐が「東京メトロにおける土木構造物の統合的な維持管理体制について」のタイトルで、メトロの取り組みを報告しました。

講演を終えた大藤土木課課長代理。東京メトロは計画→検査→補修の好循環サイクル確立を目指します(筆者撮影)

東京メトロは何割が地下トンネル?

東京メトロは、銀座線から副都心線まで9路線・195キロのネットワーク。JRや私鉄の相互直通運転区間を含めると、532キロに広がります。

自社路線の構造物ごとの路線長は、トンネルが166.8キロ(85%)、高架橋の17.4キロ(9%)、橋りょうの5.1キロ(3%)、その他の6.7キロ(3%)が続きます。全体の9割近くが地下トンネル。高架橋の多くは、東西線の千葉県内区間です。

開業後半世紀超の銀座、丸ノ内、日比谷、東西、千代田線

東京メトロでは、平成になって南北線や半蔵門線、副都心線が開業しましたが(延伸開業を含む)、多くの路線は昭和生まれ。銀座線や丸ノ内線のほか、東西、日比谷、千代田の各線も開業後半世紀を経過。効率的なメンテナンスが求められます。

そこで、東京メトロは①構造物検査のシステム化、②スマート点検、③ベテラン作業員の行動バターンを解析するマルチモーダル分析――の3方向から、構造物の維持管理を刷新することにしました。

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