米原、小浜京都、小浜舞鶴京都の3ルートを比較

北陸新幹線敦賀―京都間のルート決定の話に移ります。与党PTの検討委員会は2015年8月、富山、石川、福井、滋賀、京都、大阪の6府県選出の国会議員をメンバーに発足しました。

PTは、①米原ルート②小浜京都ルート③小浜舞鶴京都ルート――の3案を比較検討しました(3案以外に湖西ルートもありましたが、ほぼ検討されなかったので、ここでは省きます。京都―新大阪間も複数ルートありましたが、紹介は別の機会に回します)。

米原、小浜京都、小浜舞鶴京都の3ルート比較イメージ。建設延長は米原ルート約50キロ、小浜京都ルート約140キロ、小浜舞鶴京都約190キロ。想定工期は米原10年、小浜京都と小浜舞鶴京都各15年です(資料:国土交通省)

3案を簡単にご報告すれば、米原ルートは敦賀から南下して東海道新幹線米原に接続します。米原以西は建設せず、米原で東海道新幹線に乗り換え。将来は北陸新幹線から東海道新幹線への乗り入れも検討します。

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小浜京都ルートと小浜舞鶴京都ルートは、敦賀―新大阪間を東海道新幹線とは別線で建設します。2つのルートの違いは、小浜京都ルートが在来線接続駅の東小浜からストレートに京都(駅)に南下するのに対し、小浜舞鶴京都ルートは小浜から西進して舞鶴を経由するので、50キロほど遠回りになります。

米原、小浜京都の2ルートは採算が取れる

ここから3案を比較しますが、与党PTは試算結果などを公表していないため、タイトル通り取材ノートの記録に頼らざるを得ません。費用便益比は米原ルート2.2、小浜京都ルート1.1で、いずれも採算が取れます。小浜舞鶴京都ルートは0.7で採算確保は困難です。

概算建設費は米原ルート約5900億円、小浜京都ルート約2兆700億円、小浜舞鶴京都ルート約2兆5000億円です(他の試算結果もあったようですが、国交省が公式見解として示したのはこの数値です)。

採算性からは米原ルートが一見有利にみえますが、課題は米原で東海道新幹線への乗り継ぎが必要な点で、将来的には米原駅の大幅改良なども課題です。遠回りの小浜舞鶴京都ルートは採算確保は困難ですが、人口9万人の舞鶴市を経由、京都―舞鶴間が、構想される山陰新幹線を兼ねるメリットがあります。