識学による経営・組織コンサルティングや従業員向け研修を展開する企業、識学。

同社は、全国の従業員数10名以上300名以下の企業に勤める22歳~65歳の会社経営者・役員・部長職以上の会社員を対象に、「組織文化に関する調査」(有効回答数 1000サンプル)を実施。

全国の経営者・役員・会社員に、自社の組織文化を聞いたところ、調和や連帯感を重視する『家族文化』が42.7%と最も多いいっぽうで、上場企業では目標達成や市場での競争に勝ち抜こうとする『マーケット文化』が醸成されていることがわかった。

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また従業員数100名を境にして「集団で協力して成果をあげる」ことの意識に差があることもわかってきた。

企業の組織文化は家族、仲間意識の強い親密性を重んじる 家族文化が42.7% 企業の成長のカギはマーケット文化の醸成

従業員数10名以上の企業に勤める経営者・役員・部長職の会社員に「お勤めの会社の企業文化についてあてはまるものをお答えください」と聞いた結果をスコアリングしたところ、家族、仲間意識の強い親密性を重んじる「家族文化」は42.7%、安定、統制を重視する「官僚文化」は39.8%と、内部志向の傾向が高い組織文化が多いことがわかった。

またスタートアップに代表されるような変化、創造を追及する「イノベーション文化」については25.6%となり、まだ日本国内では少ないこともわかった。

会社の上場区分別で組織文化の結果を比較すると、上場企業では目標達成や市場での競争に勝ち抜こうとする「マーケット文化」が48.9%と最も高い傾向に。

また上場を検討している企業は「官僚文化」「家族文化」「マーケット文化」がいずれも50%弱であることがわかった。

これは上場を準備するにあたり、内部統制を進める必要があることや高い成長性を求められることによって、組織文化が急速に変化し、混在していることが予想される。

企業の成長のためには、マーケット文化をいかに社内に醸成させるかがカギになると考えられる。

売上規模10億円を境に企業文化に違いが見られる

企業文化について売上規模別の特徴を把握するためにコレスポンデンス分析を行ったところ、売上規模10億円を境に上下方向に大きく分かれることに。

上方向では「組織を束ねているのは、ゴールや目標の達成である」、「組織構造化され、よく管理されており、規定された形式的な手続に乗っ取って行われることが多い」といった「官僚文化」や「マーケット文化」の特徴がみられるいっぽうで、下方向では「非常に人間的なつながりを大切にし、家族的であり、同じ価値観・考えを共有している」といった「家族文化」の特徴が強くみられた。

創業時はマーケット文化・イノベーション文化が強いが年数がたち経営基盤が安定することで家族文化への変化が生まれる

企業文化について創業年数別での特徴を把握するためにコレスポンデンス分析を行ったところ、創業年数が5年未満では「新しいことへの挑戦」や「ライバルとの競争」といった「イノベーション文化」や「マーケット文化」の特徴がみられるのに対して、「5~10年未満」、「10~15年未満」では「家族文化」の特徴が強くなる傾向がわかった。

これは年数がたつにつれて、経営基盤が安定してくることによって、「家族文化」が醸成されてくるのではないかと考えられる。

業務の進め方は従業員数100名を境に大きく変化 集団での成果を意識できる仕組みが重要

業務の進め方や風土についてあてはまるものを聞いたところ、従業員数が100名以上かどうかで回答の傾向には大きな差が見られた。

従業員数が100名以上の企業では「組織から与えられた役割」を「ルールに従った判断」で「同僚と助け合い」ながら「集団で協力して成果をあげる」ことが求められていることがわかった。

この傾向は上場企業でも同様の傾向がみられ、大きな成果を出すためには集団での成果を意識する必要がありそうだ。

また「仕事の成果が見えやすい」については、従業員数が「10~30人」が49.1%と最も高く、従業員数が増えるにつれて下がる結果に。

これは従業員数が少ない企業では個人の技術であるテクニカルスキルがそのまま成果となり、従業員数が増えた企業では、分業を行うことで全体の仕事の成果を個々人が認識しづらいのではないかと考えられる。

企業における30人の壁とは上下関係がある組織体制の構築の不備

業務や風土の回答結果について従業員数別のコレスポンデンス分析を行ったところ、『10~30人』では自分のペースで、上下関係を気にせず、個人の役割が明確で個人の主体的な判断を重視するというスタイル。

それに対して、『100人以上』では計画にそって、ルールに従った判断を重視して集団で協力して成果を上げるという大きな違いがみられた。

また『10~30人』と『30~50人』が上下方向に大きく分かれてプロットされ、これは「上下関係が明確」かどうかによるもので、企業成長における30人の壁とは『上下関係がある組織体制の構築の不備』ではないかと考えられる。

競合価値観フレームワークとコレスポンデンス分析に注目

ミシガン大学のロバート・クイン、キム・キャメロンらにより開発された「競合価値観フレームワーク」では、横軸で組織が内部志向もしくは外部志向であるかを表し、縦軸で安定性を重視する文化なのか柔軟性のある文化なのかどうかを表している。

パリ第6大学のジャン=ポール・ベンゼクリによって開発されたコレスポンデンス分析は、統計学上のデータ解析手法のひとつで、集計表の形から複数の要素の類似度や関係の深さを調べることに長けた分析手法であり、近くにプロットされているマーカーほど類似性・関連性が高いことを示している。

調査結果から得られた考察

◆上場企業または上場を検討している企業では、未上場企業(上場検討なし)に比べてマーケット文化が強い傾向にある。

◆売上規模10億円以上の企業では、官僚文化やマーケット文化が強い傾向にある。いっぽうで、10億円未満の企業では、家族文化が強い傾向にある。

◆従業員数が100人以上の企業では、計画にそって、ルールに従った判断を重視し、集団で協力して成果を上げるという特徴がある。いっぽうで、10人以上30人未満の企業では、上下関係を気にせず、個人の役割が明確で、主体的な判断を重視する特徴がある。

―――これらの結果を、同社の組織マネジメント理論「識学」の観点で考察すると、成長する組織には大きく次の2つの文化的特徴があることが考えられる。

成長する組織の文化的特徴その1「結果を重視」

上場企業や、売上規模が10億円以上の企業では、マーケット文化が強い傾向にある結果とった。

マーケット文化とは、市場競争に勝つことを重んじる文化のこと。

基本的に、市場は企業を業績などの「結果」のみで評価するため、市場競争に勝つには、高い結果を出す必要がある。

社内の文化が結果重視であればあるほど、企業の成長の可能性が高まると考えられる。

成長する組織の文化的特徴その2「ルールに基づいた運営」

売上規模が10億円以上や、従業員数が100人以上の企業では、官僚文化が強い傾向にある結果となった。

官僚文化とは、組織の安定と統制を重んじる文化のこと。

官僚文化では、個人の主体的な判断よりも、ルールに従った判断が重視される。

ルールが不十分ななかで、仕事に携わる人数が増えてくると、必然的に「認識のズレ」が多く発生するようになる。

そして、この「認識のズレ」が多くなればなるほど、結果を出すのに時間がかかるようになる。

よって、ルールに従った判断を重視する文化であるほど、結果に到達する時間が短縮され、企業の成長の可能性が高まると考えられる。

◆識学
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