東京メトロは2024年度中に、クレジットカードによる「タッチ決済などを活用した乗車サービス」の実証実験を始めます。

といっても、南海電鉄やJR九州のような、クレジットカードを改札にタッチして乗車し、後払いで運賃を引き落とすというスタイルではありません。2024年度から始まる実証実験では、事前に企画乗車券を乗車券販売サイトで販売。利用者はあらかじめサイト上で企画乗車券を購入し、タッチ決済対応のカードやスマートフォンなどを自動改札機にかざすことで東京メトロを利用します。

東京メトロは今回の実証実験について、あくまで「交通系ICカード」を主軸としつつ、新たな乗車サービスを検証することを目的としています。クレジットカードなどを用いた後払いサービスの実施については、今後、実証実験の状況を踏まえて検討を進めていくとのこと。

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また実証実験では、カード(クレジット・デビット・プリペイド)に限らず、QRコードを用いた乗車サービスも検証します。こちらも企画乗車券を事前に販売サイトで購入するというかたちになるようです。

東急電鉄と足並みを揃えたわけではない

ここで気になるのが、すでに首都圏の鉄道で「クレジットカードのタッチ決済」を活用した乗車券サービスの計画を発表している東急電鉄です。

同社は2022年12月時点で実証実験について発表済み。2023年夏に一部先行駅(田園都市線を中心とした各駅)で実証実験を行い、2024年春に東急線全駅を対象に実施するとしています。

実証実験の内容を見てみると、「乗車券販売サイトで企画乗車券を事前に購入する」という内容は東京メトロと同じ。

ただし東急電鉄の場合は「タッチ決済に対応したクレジットカードを使用した後払いも可能になります」という一文があり、この点では東京メトロと異なります。

東京メトロ広報に確認したところ、今回の実証実験についてはあくまでも「当社単体で実施するものです」ということで、東急電鉄と足並みを揃えて進めているわけではないようです。

将来的には今の交通系ICカードのように複数社にまたがって利用できるような「タッチ決済」サービスも出てきそうですが、現時点ではまだ検討の域を出ません。東急田園都市線や東京メトロの実証実験がどのように発展していくか、注目したいところです。

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