明治の鉄道遺構が建築技術の歴史を伝えるめがね橋(日本工営、碓氷峠鉄道文化むら )

「めがね橋」の愛称で知られ、明治時代に建設された、群馬県安中市の旧国鉄信越線横川―軽井沢間の碓井第三橋りょうを行程に組み入れた訪日外国人向けツアーが、2023年11月に実施される。ツアー名は、「群馬の自然で五感を癒やす旅~ガン検診から始めるウェルネスツーリズム」。

行程は11月17日に東京を出発し、20日(一部21日)に帰京する3泊4日(同4泊5日)コース。前橋市のホテルと伊香保(渋川市)、磯部(安中市)の両温泉に宿泊する。2日目に高崎市の医療機関でがん検診を受診。「アプトの道ハイキング」と銘打った旧信越線廃線跡ウォークは3日目に組まれた。

めがね橋は碓氷川にかかるレンガ造り4連のアーチ橋で、同橋梁を含む「碓氷峠鉄道施設」は1891年に着工、1893年に完成した。急勾配区間を走行するため、線路脇のラックレールに電気機関車ED42の歯車をかみ合わせて進むアプト式を採用。アプト式鉄道は1963年、線路への粘着力を高めた、峠のシェルパの異名を持つEF63が導入されると廃線になった。

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碓氷峠第三橋りょうは全長91メートル、川底からの高さ31メートル、使用レンガ約200万個。1993年に「碓氷峠鉄道施設」として、他の橋りょうなどとともに重要文化財に指定され、延長約6キロの遊歩道が整備された。

同橋りょうは2023年8月、観光庁がインバウンド復活を目指して公募した観光再始動事業に、「碓氷峠登山鉄道アトラクション」として採択。11月のツアーでは、旧横川運転区跡の鉄道テーマパーク「碓氷峠鉄道文化むら」の見学に続き、約1時間、2キロの廃線跡ウォークで群馬の歴史や自然に触れる。

ツアーをコーディネートしたのは、東京の建設コンサルタント会社・日本工営。鉄道分野ではインド高速鉄道プロジェクトへの参画などで知られるが、今回は新規事業として訪日インバウンドツアーに挑戦する。ツアーは前橋市のバス会社・日本中央交通系列の旅行会社・日本中央旅行が主催する。

記事:上里夏生

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