台湾鉄道観光協会のワークショップが開かれた鉄道フェスの民鉄協ブース(筆者撮影)

2024年秋に鉄道ニュースをにぎわすのが、日本と台湾の鉄道を通じた国際交流拡大の話題。

台湾のファンには日本の鉄道の人気が高く、円安傾向を追い風にした訪日旅行ブームに乗ってJRグループや大手・中小の私鉄は、台湾からの誘客に力を入れる。

かたや台湾では、日本の新幹線システムを採用した台湾高速鉄道が台北~高雄間を結ぶほか、ノスタルジックな雰囲気の集集線(現在は一部区間運休)に代表される魅力的なローカル線もあり、日本から乗り鉄や撮り鉄で訪台する愛好家も多い。

鉄道フェスティバル

そんな日台鉄道交流拡大の象徴が、2024年10月13、14の両日、東京都江東区のお台場で開かれた31回目の「鉄道フェスティバル」。

会場には同年7月、日本民営鉄道協会と「鉄道観光プロモーション協定」を結んだ台湾鉄道観光協会が、海外の鉄道事業者・団体として初めて単独ブースを構えたほか、民鉄協ブースで「台湾鉄道車両木製キット製作」ワークショップを開催。フェスを訪れたファンや子どもたちが、台湾の鉄道に親しんだ。

鉄道業界が一丸になってファンと交流する、鉄道フェスのようなイベントは世界でも珍しく、「鉄道の日」実行委員会の森地茂会長(政策研究大学院大学名誉教授)もかねてより、海外鉄道の参加を呼びかけていた。

南海電気鉄道など

台北市の台北メトロ本社で友好協定を交わす梶谷知志南海取締役・常務執行役員鉄道事業本部長、黄清信台北メトロ総経理、詹文滔同副総経理=写真左から=(写真:南海電気鉄道)

台湾で首都・台北の公共交通を受け持つのが台北メトロ。南海電気鉄道との間で2024年11月4日、旅客の利便性向上や沿線への相互送客を目的にした友好協定を結んだ。

台北メトロは、台北市や周辺エリアで地下鉄や一般鉄道、新交通システムを運行する。両社は今後、相互に沿線観光地の魅力を発信するなど、観光人口拡大や沿線地域振興に取り組む。

また、台北メトロと日本の私鉄との国際交流では2024年9月10日、東武鉄道との間で観光旅行事業を軸に相互連携に取り組む「観光旅行事業協力覚書」を締結した。東武は2016年10月、台北事務所を開設している。

さらに台北メトロは2024年10月25日、京成グループの鋸山ロープウェー(千葉県館山市)、筑波観光鉄道(茨城県つくば市)の両社とも友好協定を結んだ。台北メトロは、台北市で猫空ロープウェイを運営する。

JR東日本

JRグループでは、JR東日本グループが2024年9月20日、台北メトロと駅や駅周辺の価値向上の共同検討に関しての基本合意を交わした。

主な検討分野は、台北メトロが管理する駅や駅周辺の開発事業に関すること、開発事業を円滑に進めるためのスキーム構築に関することの2項目。今後、モデル駅を定めて共同の検討作業を進める。

記事:上里夏生

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