「あじさい号」のヘッドマーク列車=上総牛久で=(筆者撮影)

上総大久保~養老渓谷間の菜の花畑や飯給(いたぶ)、里見の両駅のサクラなど〝花の鉄道〟として知られる千葉県の小湊鐵道に、新しいお花見スポットが誕生する。

大手飲料メーカー・伊藤園が、2025年3月に開業100周年を迎えた小湊鐵道をリスペクトして上総大久保駅付近の線路沿いにソメイヨシノとサトザクラの苗木10本を植樹。2025年6月5日、現地でセレモニーが開かれた。サクラは生育が早く、順調にいけば3年後にも花見が楽しめる。

伊藤園は看板飲料「お~いお茶」の発売30周年を記念して、2019年に「わたしの街に、未来の桜を植えようプロジェクト」を始動。サクラパッケージデザインの商品を季節限定で売り出すとともに、地域振興を狙いに植樹活動に力を入れる。これまで各地で植えたサクラは1500本を超す。

小湊鐵道と伊藤園は駅やイベントなどでの商品展開を通じて関係が生まれ、小湊の開業100周年プロジェクトに伊藤園が参加。菜の花の駅として知られる上総大久保を新しい花見スポットに育てようと、記念植樹を申し出た。上総大久保は養老渓谷ハイキングコースのルート上にも当たる。

高さ1メートルほどのサクラの苗木が植えられたのは、上総大久保から次駅の月崎方面への線路沿い。小湊鐵道沿線で植栽の手入れに取り組む、ボランティアグループ・南市原里山連合のメンバーが維持管理に当たる。

上総大久保駅前でのセレモニーでは、小湊鐵道の石川卓生代表取締役副社長が得意の〝フリップ芸〟で鉄道の歴史や沿線のセールスポイントを披露。伊藤園の平岡和宏執行役員・北・東関東地域営業本部長から目録が手渡された。100周年プロジェクトに協力するJR東日本千葉支社からも社員が参加した。

得意のフリップ芸で「里の春一両列車と桜風」の自作句を披露する石川小湊鐵道副社長(筆者撮影)
植樹したサクラ前の「お~いお茶」メモリアル碑でフォトセッション

この日、小湊鐵道は「あじさい号」のヘッドマーク列車を運転。沿線には撮り鉄の姿も見られた。

記事:上里夏生