新宿駅から箱根湯本駅まで最短75分で結ぶ、小田急電鉄の特急列車「ロマンスカー」。都心から小田原や箱根へ気軽に旅ができる観光列車としてはもちろん、多くのオフィスワーカーの通勤需要にも応えています。特急ロマンスカーの現役全4車種のラインナップや車内設備、予約・購入方法、など、ロマンスカーを利用する前に知っておきたい情報を「永久保存版」として徹底解説します。

特急ロマンスカーの種類

ロマンスカーは、1996年にデビューした「EXE(30000形)」、EXEをリニューアルし、2017年に就役した「EXEα(30000形)」、2008年から地下鉄を走るロマンスカーとして活躍中の「MSE(60000形)」、2018年にデビューした「GSE(70000形)」の4車種が運行中です。それぞれの特長を見ていきましょう。

EXE(30000形)


EXE(エクセ)の名称は「Excellent Express(素敵で優秀な特急列車)」から。全長200メートル・10両編成で座席定員数がもっとも多く、主に通勤特急として親しまれています。
また、6両と4両とに分割できるため、さまざまなスタイルで運行が可能。現在は小田急線のすべての車両に搭載されているシングルアーム形のパンタグラフを、初めて採用した車両としても知られています。
なお、EXE(30000形)や、2023年に引退したVSE(50000形)の後継として現在、新型ロマンスカーの設計が進められています。運行は、2029年3月の予定。EXE(30000形)に乗ってみたい人は、今のうちに楽しみましょう。

【参考】小田急電鉄、次の100年を牽引する「新型ロマンスカー」の設計に着手
https://tetsudo-ch.com/12976473.html

EXEα(30000形)


その名の通り、EXEにプラスアルファの要素を加えたリニューアル車両。外観は、ムーンライトシルバーとディープグレイメタリックの2色をベースとし、ロマンスカーの伝統色「バーミリオン・オレンジ」のラインを入れたタイリッシュなデザイン。内装はベージュで、スーツケースを置けるラゲージスペースやバリアフリースペース、防犯カメラの設置など、より快適に、安心して乗車できる環境を整えています。

MSE(60000形)


東京メトロ千代田線に乗り入れるロマンスカー。地下鉄に初めて座席指定の有料特急が誕生したとあって、2008年のデビュー当時には話題になりました。平日は大手町方面と本厚木間を結ぶビジネス需要を、休日は箱根や江の島へ行く観光需要を満たす、地下鉄直通特急です。
「真珠の耳飾りの少女」などで知られるオランダ人画家、ヨハネス・フェルメールにちなんだ光沢のあるブルー「フェルメール・ブルー」の車体も特長。ロマンスカーの伝統カラー「バーミリオン・オレンジ」の帯が窓の下に走り、目を引くデザインです。

GSE(70000形)


2018年3月、長く親しまれてきた「LSE」(7000形)の後継として登場した最新車両です。GSEは「Graceful Super Express」の略。「箱根につづく時間を優雅に走るロマンスカー」のコンセプトで開発されました。
最大の魅力は、展望室を備えていた「LSE」(7000形)を彷彿とさせる眺望。前面窓に大型の1枚ガラスを使用し、先頭車両の荷棚を無くすことで車内からダイナミックな景色を楽しめるように。さらに、車体側面には高さ1メートルの連続窓を採用。MSEより30センチも高くしたことで、どの座席にいても車窓を通して沿線の風景を満喫できます。

ロマンスカーの車内は?

GSE(70000形)展望席

ロマンスカーの車内はどのような様子なのか、GSE車両の内部を紹介します。
GSEは最前・後部車両が「展望車両」となっています。両先頭車の16席が展望席となっていて、座席上の荷棚をなくすことでダイナミックな眺望と開放的な空間を実現しています。「では、運転席はどこにいってしまったの?」と疑問に思うかもしれませんが、実は展望席が2階建てになっていて、上階に運転席があります。

GSE(70000形)中間車両

座席はロマンスカー最大の座面幅。部座席を除き、座席下には荷物収納スペースを確保されているため、ゆったりと座ることができます。

GSE(70000形)テーブル使用例

各シートの肘掛けに収納されているテーブルは、ノートパソコンを置くことができるサイズ。肘掛部にはコンセントが設置されていて、充電をしながらパソコンやスマートフォンを使用できます。テーブルは座席を向かい合わせにしたときも使えるため、車内で飲食を楽しみながら旅をしたいときにも重宝します。
また、各シートの肘掛けに収納されている座席背面には3つのフックとペットボトルホルダーが設置されています。フックにはバッグだけでなく、傘や杖などをかけることができて便利です。

ロマンスカー各車両の車内設備の状況

車内のコンセントは、GSE(70000形)の全座席、およびEXEα(30000形)の一部車両(トップナンバー編成を除く窓側)に設置されています。それ以外の車両には設置されていません。
車内には、WiFiサービスはありません。(ロマンスカー車内の無料Wi-Fiサービス odakyu Free Wi-Fiは、2024年4月1日に終了しています)
車内販売はありませんので、飲食物の持ち込みを推奨しています。(一部車両に自動販売機の設置があります。)

ロマンスカーの運行情報

MSE(60000形)「ふじさん号」

ロマンスカーは、朝方上り列車の「モーニングウェイ号」「メトロモーニングウェイ号」、夕夜間下り列車の「ホームウェイ号」「メトロホームウェイ号」、箱根湯本行きの「はこね号」「スーパーはこね号」「メトロはこね号」、小田原行きの「さがみ号」、片瀬江ノ島行きの「えのしま号」「メトロえのしま号」、御殿場行きの「ふじさん号」と11種類の列車が運行しています。それぞれに停車駅が異なるため、乗車前に確認をしておきましょう。

ロマンスカーの停車駅

「モーニングウェイ号」
9:30までに新宿駅に到着する特急ロマンスカーを、平日12本、土休日8本運行しています。
「メトロモーニングウェイ号」
9:30までに大手町駅に到着する特急ロマンスカーを、平日2本、土休日1本運行。千代田線直通で乗り換えなし、スムーズに通勤できます。

「ホームウェイ号」
17:00以降に新宿駅を発車する通勤特急ロマンスカーを、平日19本、土休日18本運行します。
「メトロホームウェイ号」
17:00以降に大手町駅発(一部列車と土休日は北千住駅発)の通勤特急ロマンスカーを、平日5本、土休日2本運行しています。

「はこね号」
小田急線新宿駅から箱根登山線小田原駅を経由し、箱根湯本駅まで行く列車です。平日30本、土休日39本運行しています。
「スーパーはこね号」
小田急線新宿駅から箱根登山線小田原駅を経由し、箱根湯本駅まで直通の列車。途中停車駅は小田原のみで、土休日下り2本のみの運行です。
「メトロはこね号」
東京メトロ千代田線北千住駅から箱根登山線小田原駅を経由し、箱根湯本駅まで行く列車です。平日2本、土休日6本運行しています。

「さがみ号」
新宿駅と小田原駅を結ぶ列車です。平日15本、土休日10本運行しています。

「えのしま号」
新宿駅と片瀬江ノ島駅を結ぶ列車です。平日4本、土休日14本運行しています。
「メトロえのしま号」
東京メトロ千代田線北千住駅から小田急江ノ島線片瀬江ノ島間まで行く列車です。土休日に3本運行しています。

「ふじさん号」
小田急線新宿駅からJR御殿場線松田駅を経由し、御殿場駅に到着。朝・昼・夕方と1日3往復運行しています。

ロマンスカーの予約・購入方法

ロマンスカーを利用するには、乗車券にプラスして特急券の購入が必要です。乗車日の1ヶ月前の10:00~購入でき、特急券の料金は区間により異なります。新宿駅から小田原駅までの片道乗車料金は大人1人910円、特急料金は大人1人1,000円、箱根湯本駅までの片道乗車料金は大人1人1,270円、特急料金は大人1人1,200円(紙チケットの場合・子どもは半額)です。
特急券の購入方法は大きく分けて、インターネットでの購入か、自動券売機・窓口での購入となります。

インターネットでの購入方法


ロマンスカーの特急券は、オンラインで空席確認・予約・購入ができます。会員登録不要で予約・購入ができる「e-Romancecar」、会員登録制で小田急ポイントカードのポイント付与が可能な「ロマンスカー@クラブ」、経路検索から予約・購入でき、デジタルフリーパスとの同時購入に便利なアプリ「EMot」、EMotのウェブブラウザ版(スマートフォン専用サイト)「EMotオンラインチケット」があり、いずれもクレジットカードで購入が可能。チケットレスで乗車できます。
なお、JR御殿場線連絡の特急券を購入する場合は「e-Romancecar」を利用してください。

自動券売機・窓口での購入方法


ロマンスカーの特急券は、小田急線各駅の改札外にある券売機や、乗車ホームに設置されている特急券専用の券売機で購入できます。現金のほか、クレジットカードの利用が可能です。
また、新宿・町田・小田原駅は7:30~20:00、成城学園前・新百合ヶ丘・相模大野・本厚木・藤沢駅は10:00~20:00まで、窓口でも特急券を販売しています。一部旅行代理店でも取り扱いを行っています。

景色のいい席・展望席を予約するには?

GSE(70000形)に設けられた展望席は、特別料金なしで予約が可能です。
座席数に限りがあるため、乗車日の1ヶ月前10:00の予約開始日時に、インターネット予約の場合は事前に主な情報入力が可能な「ロマンスカー@クラブ」、もしくは駅の窓口に足を運んで予約をする人が多いようです。早めの予約を心がけましょう。
また、通常の席で富士山や丹沢山地の眺望を楽しみたい人は、箱根湯本方面行き・新宿行きともにC・D列、田園風景や箱根の街並みを眺めたい人はA・B列を予約しましょう。

予約した特急券は、窓口や自動券売機で購入手続きをしましょう。引き取り期限(乗車日の8日前までに購入した場合は予約日を含め8日以内、インターネット予約の場合は発車15分前まで)を過ぎると自動的に取り消しになってしまうため注意が必要です。また、「EMot」「EMot オンラインチケット」で予約の場合はアプリやサイト内で購入手続きを完了してください。
当日は、乗車券で自動改札機を通ればOK。特急券は改札に通す必要がありません。列車名や出発時間、座席番号をチェックしておきましょう。

都心から小田原・箱根などの人気観光地へ気軽に快適な移動ができる「特急ロマンスカー」。まだ利用したことがないという人は、この記事を参考に予約をしてみてはいかがでしょうか。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成しています。最新情報は公式サイトなどでご確認ください。
(注釈のない画像:小田急電鉄)

鉄道チャンネル編集部
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