〝進むAIの波〟京王電鉄×バリューコマースが「予約管理DX」を共同開発! AI活用でホテルの事務作業を最大70%削減へ

京王電鉄とバリューコマースは、宿泊予約情報の「表記ゆれ」をAIで自動補正する「予約管理DX」機能を共同開発しました。
本機能は、予約サイトごとに異なる顧客名表記や「高層階希望」「アレルギー対応」といった備考欄の複雑なリクエストをAIが判別し、ホテル管理システム(PMS)へ自動反映するもの。深刻な人手不足が続く宿泊業界において、事務作業をAIが肩代わりすることで、スタッフが「人ならではの接客」に専念できる環境を構築します。本記事では、特許出願中の独自技術や、京王のオープンイノベーションプログラム「JISOU」から生まれた開発の舞台裏を詳しく解説します。
宿泊予約サイトの「表記ゆれ」をAIが瞬時に解決
京王電鉄とバリューコマースが共同開発した「予約管理DX」は、宿泊予約情報の管理を劇的に効率化する新機能。バリューコマースが提供するホテル管理システム(PMS)「DYNA PMS」のオプション機能として展開します。
現在、多くの宿泊施設では、複数の予約サイトや旅行会社から送られてくる予約情報の処理に苦慮しています。サイトごとに異なる氏名の表記や精算情報、さらに備考欄にフリーテキストで書かれる「高層階希望」「記念日の利用」といった個別のリクエスト情報を、スタッフが1件ずつ読み解き、手作業でシステムに入力・補正する必要がありました。
今回の新機能は、この複雑な作業をAIが肩代わりします。バラバラな書式を自動で使いやすい形に整えることで、事務作業の負担を大幅に軽減。「予約管理 DX」に関連する装置やシステム、プログラムは京王電鉄とバリューコマースで特許を共同出願中。独自性の高い仕組みとなっています。
実証実験では1日あたり約500分の作業削減を達成

本機能の導入に先立ち、「京王プレリアホテル京都烏丸五条」と「京王プレリアホテル札幌」の2施設で、2025年3月から6月にかけて実証実験を行いました。
導入前は、1館あたり1日平均約200件の予約に対し、スタッフ1名がフルタイム(約8.3時間)を費やして予約情報の確認作業を行っていました。しかし、AIによる自動補正を導入した結果、大部分の確認作業が自動化され、作業時間を最大70%削減することに成功。時間にして1日あたり約500分の創出につながったといいます。
ケアレスミスや見落としも抑制されるため、予約精度の向上にも寄与します。浮いた時間は、宿泊客へのきめ細やかな対応や付加価値サービスの提供など「人にしかできない仕事」に充てることができるようになります。
鉄道系ホテルがリードする「おもてなしのデジタル化」

今回の取り組みで特筆すべきは、京王電鉄が自社の事業部門を起点としたオープンイノベーションプログラム「JISOU(ジソウ)」を活用している点です。
人手不足はホテル業界全体の課題ですが、特に鉄道系ホテルは、ビジネスから観光まで幅広い層が利用するため、効率化とホスピタリティの両立が強く求められます。AIを「省人化」のためだけに使うのではなく、あくまで「スタッフが接客に集中するためのツール」と位置づけている点に、京王らしい「おもてなし」へのこだわりが垣間見えます。今後、このシステムが他のホテルチェーンへも外販されれば、業界全体のスタンダードを塗り替える可能性も秘めています。
オープンイノベーションで加速する京王の事業改革

京王電鉄では、2022年度からスタートアップ企業との共創を強化しており、2026年2月1日には80億円規模のCVCファンド「京王れーるファンド」を設立したばかりです。
「JISOU」では、現在も多くのテーマでパートナーを募集しており、鉄道事業にとどまらず、街づくりやサービス全般にわたるDXを推進しています。今回開発された「予約管理DX」機能も、その成功事例の一つとして、今後の機能拡張や他システムへの展開が期待されています。
鉄道会社が培ってきた「安全・正確」のノウハウが、AIという翼を得て宿泊業界の未来を照らし始めています。事務作業はAIに、おもてなしは人へ。京王電鉄のこの一歩は、私たちが次にチェックインする瞬間の、スタッフの明るい笑顔に繋がっているはずです。
(画像:京王電鉄)
鉄道チャンネル編集部
(旅と週末おでかけ!鉄道チャンネル)
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