JR東日本グループは、2050年度までにCO2排出量「実質ゼロ」を目指す取組みの一環として、日本初の水素ハイブリッド電車「HYBARI(ひばり)」の営業運転を2027年度末に開始すると発表しました。さらに、ディーゼル車両と同等の走行距離を持つ次世代車両の開発や、発電・まちづくり分野での水素利活用も加速させます。鉄道業界の脱炭素化を牽引するこの動きは、今後の路線風景や社会インフラを大きく変える重要な変化として注目を集めています。

日本初の水素ハイブリッド電車「HYBARI」がいよいよ営業運転へ

「HYBARI」は水素を燃料とする燃料電池装置と蓄電池を搭載したハイブリッド電車です。形式名は「FV-E991系」で、愛称は「HYdrogen-HYBrid Advanced Rail vehicle for Innovation」の頭文字から取られています。JR東日本は2022年3月下旬から実証試験を重ね、車両性能やシステムの安定性を検証してきました。

今後は日本初の水素を利用した営業車両へと改造され、鶴見線および南武線(尻手~浜川崎間)にて運行される予定です。

運行エリア(イメージ)

水素の充填は鎌倉車両ベース(中原)にて35MPaの高圧水素で行われ、1回の充填で約70kmの走行が可能となります。

水素ハイブリッド電車「HYBARI」の仕組み(イメージ)

【参考】JR東日本「HYBARI」報道公開 コンパクトなシステム構成の水素ハイブリッド電車 https://tetsudo-ch.com/12189360.html

次世代水素ハイブリッド電車の開発も始動

「HYBARI」で得た知見をもとに、JR東日本はさらなる進化を遂げた「次世代水素ハイブリッド電車」の開発にも着手しました。世界初となる70MPaの高圧水素を使用することで、従来のディーゼル車両と同等の走行距離を確保するとともに、連続する勾配線区にも対応できる走行性能を目指しています。2030年度末を目途とした営業運転を目標としており、将来的には広範囲な線区での走行や海外展開も視野に入れています。

発電・まちづくり分野への広がりと社内炭素価格の引き上げ

JR東日本グループは鉄道(モビリティ)だけでなく、発電やまちづくり分野でも水素の利活用を推進します。川崎発電所では、火力発電設備の燃料使用量の1%以上を水素とする目標を掲げ、「水素1%調達宣言」に参画しました。

JR東日本電力使用量(2024年)イメージ

また、軽井沢エリアの「浅間ゼロカーボンコンソーシアム」への参画や、「TAKANAWA GATEWAY CITY」での水素を用いた物流・ごみ収集車の導入など、大規模な社会実装を進めています。

さらに、CO2排出量削減につながる設備投資を促すため、社内炭素価格(ICP)を従来の5,000円から約3倍の15,000円へと大幅に引き上げました。

街全体でエコを体感できる未来

鉄道会社が自前の発電所や大規模な再開発エリアを活用し、水素エネルギー網を構築していくスケールの大きさには驚かされます。「TAKANAWA GATEWAY CITY」のような最新都市から軽井沢といったリゾート地まで、多様な環境で水素が当たり前に使われる未来がすぐそこまで来ています。

駅前・まち中での水素利活用イメージ(AIにより作成)

水素社会の実現に向けて、鉄道から街へ、そして未来へと広がるJR東日本のゼロカーボン戦略。鶴見線や南武線で「HYBARI」に乗車できる日が今から待ち遠しいですね。次世代車両の登場や街の進化から、今後も目が離せません。

(画像:JR東日本)

鉄道チャンネル編集部
(旅と週末おでかけ!鉄道チャンネル)

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