東京駅の八重洲口に、新たな巨大ランドマークが誕生します。東京建物などが参画し、整備が進められてきた大規模複合施設「TOFROM YAESU(トフロム ヤエス)」の中核となる「TOFROM YAESU TOWER」が、2026年9月10日にいよいよ開業します。
本施設は、地下で国内最大級の「バスターミナル東京八重洲(第二期エリア)」や八重洲地下街(ヤエチカ)と直結。これにより、鉄道ファンや旅行者、出張者の移動スタイルは以下のように大きく変わります。

・雨に濡れずに東京駅や地下鉄各線からバスターミナルへ快適にアクセス可能に
・高速バス乗車前後のスキマ時間に商業ゾーンで食事や買い物が完結
・お神輿の常設展示や歴史を紡ぐアートなど八重洲の伝統と最先端を感じられる空間

交通の結節点としてさらに進化を遂げる八重洲エリア。本記事では、新施設の全貌と、東京駅周辺の回遊性や利便性がどのように向上するのかを詳しくご紹介します。

東京駅直結「TOFROM YAESU」とは?

「TOFROM YAESU」(画像:東京建物)

東京駅前八重洲一丁目東地区市街地再開発事業として整備された「TOFROM YAESU」は、2026年9月10日に開業する地上51階、地下4階、高さ約250メートルの超高層ビル「TOFROM YAESU TOWER」と、2026年7月15日に竣工した地上10階、地下2階のオフィスビル「TOFROM YAESU THE FRONT」の2棟で構成されています。

「TOFROM YAESU」ロゴ(画像:東京建物)

名称の「TOFROM」は「八重洲へ(=TO)」と「八重洲から(=FROM)」を組み合わせた造語。世界中のヒト・コト・モノが集まり、多様な価値を創出。新たな価値を発信する場所になってほしいという思いが込められています。

「TOFROM YAESU」アクセス

「TOFROM YAESU」周辺図(画像:東京建物)

「TOFROM YAESU」は日本有数のビッグターミナル「東京駅」から八重洲地下街(ヤエチカ)を通って直結。東京メトロ東西線や銀座線、都営浅草線の「日本橋駅」からは徒歩約3分、東京メトロ半蔵門線と銀座線の「三越前駅」からは徒歩約6分です。

「TOFROM YAESU」周辺図(記者説明会資料より)

東京駅(八重洲地下中央口)~TOFROM YAESU THE FRONT~TOFROM YAESU TOWERを、雨に濡れず快適に移動できます。

取材時はまだ通り抜けできませんでしたが、ヤエチカとTOFROM YAESUがシームレスに繋がっています

さらなる発展が見込まれるYNKエリア

八重洲を含む「YNKエリア」(記者説明会資料より)

八重洲(Yaesu)、日本橋(Nihonbashi)、京橋(Kyobashi)からなる「YNK(インク)」エリアは、現在大きな変革期を迎えています。首都高地下化をはじめとした日本橋川再生計画や東京高速道路(KK線)のTokyo Sky Corridor(東京スカイコリドー)計画が進行中であり、さらに羽田空港アクセス線(仮称)による東京駅~羽田空港のダイレクトアクセス化、つくばエクスプレスや都心部・臨海地域地下鉄構想の東京駅接続など、交通インフラの大幅な強化が予定されています。

【参考】【日本橋再開発】街区名称は「東京ミッドタウン日本橋」! 284mタワーにヒルトン最上級ホテル「ウォルドーフ・アストリア」2027年秋開業へ(※2026年5月掲載) https://tetsudo-ch.com/13027775.html

【参考】銀座の一等地に誕生した奇跡の空間を「空中公園」に!廃止された首都高速KK線の利活用イベント「Roof Park Fes & Walk 2026」潜入レポート(※2026年5月掲載) https://tetsudo-ch.com/13027647.html

鉄道ネットワークの拡充と再開発が連動するYNKエリアにおいて、「TOFROM YAESU」はその中心的なハブとしての役割を担うことになります。全国からのアクセス拠点が集約されることで、旅行やビジネスの移動スタイルそのものを変えるポテンシャルを秘めています。

「TOFROM YAESU TOWER」

ルーフトップテラスから見た「TOFROM YAESU TOWER」

9月10日に商業エリアが開業する「TOFROM YAESU TOWER」は、段階的に施設整備が進められてきました。

「バスターミナル東京八重洲」第二期エリア(撮影:ToLoLo studio UR都市機構提供)

「TOFROM YAESU TOWER」は2026年3月20日、地下に「バスターミナル東京八重洲」の第二期エリア(地下A)が先行オープンしました。

「東京建物 ぴあ シアター&カンファレンス」(画像:東京建物)

続いて、806席のシアターとカンファレンスホールを備えた施設「東京建物 ぴあ シアター&カンファレンス」が5月1日にプレオープン。

「日本医科大学八重洲健診ステーション」(画像:東京建物)

6月30日には「日本医科大学八重洲健診ステーション」が順次開業しました。

そして、9月10日には68店舗が集結する商業ゾーン(9月10日の全面開業時点では55店舗が先行オープン)「TOFROM YAESU Shop & Restaurant」もオープンします。

「TOFROM YAESU THE FRONT」

多様な個性が集積する八重洲を多面体で表現した「TOFROM YAESU THE FRONT」外観デザイン

2026年7月15日に竣工した「TOFROM YAESU THE FRONT」は、オフィスや商業施設が入ります。
外観デザインは、多様な個性が集積する八重洲を多面体で表現。また、八重洲通りにかつて紅葉川が流れ、外堀通りに江戸城外堀が存在した歴史をもとに、外堀通り・八重洲通りに面する街区角部のファサードはガラスを斜めに設置。キラキラと輝く水面のきらめきを表現しています。

「TOFROM YAESU THE FRONT」低層部

低層部は、立体的な壁面緑化が目を引くデザイン。木や石などの自然素材を中心としたさまざまな要素を箱状に積み上げることで「八重洲の多様性」を大切にするコンセプトを表現しています。

「TOFROM YAESU THE FRONT」オフィスエントランス

アーチ形状のエントランスは、かつての東京建物本社のデザインを踏襲。エントランスホール内部の吹き抜け空間には、4,400個の球を天井から吊り下げたアートワークを配置しました。「多くの人が集まりひとつの場所を形作り、永く愛されるように」という願いが込められています。

8階「オフィスフロア」

約85~540平方メートルの整形なオフィスを整備。個別空調やLow-Eペアガラスの採用など、省エネと快適性に配慮したオフィス空間です。DBJ Green Building認証プラン5つ星、BELS 5つ星(いずれも最高ランク)、ZEB Ready(事務所部分)、CASBEE Sランクの認証も取得。リーシングは順調で、大手企業から新興企業、外資系まで幅広い企業の入居が予定されています。

様々な角度から東京駅周辺の風景を見渡すことができる「ルーフトップテラス」

入居企業のワーカー向けに設けられた「ルーフトップテラス」は都心にいながら緑を感じることができる空間。波紋のような曲線ベンチに腰掛け、東京駅周辺の景色を眺めながらリフレッシュできます。

「ルーフトップテラス」から見た東京駅前の様子

まちの回遊性を高める歩行者ネットワーク

接続通路MAP(画像:東京建物)

施設内には「八重洲通り」「八重洲仲通り」「外堀通り」「さくら通り」という4つの主要な通りを結ぶため、3本の接続通路を整備。まちの動線をシームレスに繋ぎ、自然な回遊と交流を促します。

八重洲仲通りと養珠院通りを繋ぐ接続通路

江戸時代、八重洲一丁目東地区一帯は「檜物町(ひものちょう)」と呼ばれ、檜を用いた木工品を作る職人が集積する「木の文化と技の拠点」でした。この歴史的背景を踏まえ、通路には世界各地の樹木と職人技を組み合わせたデザインが施されています。壁の左右で北半球と南半球の木材を使い分けているとのこと。樹種を予想しながら歩くのも楽しそうです。

八重洲仲通りと八重洲北口通りを繋ぐ接続通路

壁面は、古くから職人の街として進化を続けてきた八重洲を表現。積み重ねてきた時間を感じさせるとともに、天井にはランダムに鏡面を配置することで、映り込みによりさまざまな表情を見せる空間をデザインしています。

接続通路の先に「緑の地球儀」

これら接続通路の中心となる養珠院通り側の頭上には、世界の大陸ごとの植物を精巧な人工観葉植物(アーティフィシャルグリーン)で表現した「緑の地球儀」を設置。自然・文化・人が交差し、次の価値へと繋がっていく拠点のあり方を視覚的に表現しています。

イベント会場としての活用も想定されている「檜物町スクエア」は吹き抜けの開放的な空間。2・3階の店舗とともに、一体感のある賑わいを創出します

地下のバスターミナルと4階のオフィスロビーを繋ぐ4層吹き抜けの大空間「檜物町スクエア」も見どころ。約1,200平方メートルの開放的な広場となっており、地域のお祭りやイベントスペースとして活用される想定です。

各階のステージを立体ギャラリーとし、3階までの吹き抜け空間全体でにぎわいを創出

高さ約7メートルの高木に加え、旧町名にちなんだ「檜」のベンチやテーブルなどオリジナルの家具を配置する予定。これらを可動式とすることで、イベント時に広い空間を確保できます。

1階にはお神輿を常設展示

日本三大祭りのひとつ「山王祭」の巡行で使われるお神輿を常設展示しており、地域の伝統に触れることができます。

現地を見学してみると、移動の利便性だけでなく、歩くこと自体がエンターテインメントになるような空間設計が印象的でした。昔の建物の廃材をアートとして再利用したり、歩くにつれて景色が変わったり、おでかけの合間に少し立ち寄るだけでも十分に楽しめる、まさに「生きた建築」と言えます。

9月10日の全面開業に向けて、ますます活気づく東京駅八重洲口エリア。ただ移動するために通り過ぎる場所から、歴史と最先端のトレンドが交差する「滞在して楽しむ場所」へと進化を遂げています。 新幹線や高速バスの出発ギリギリまで、八重洲の魅力を味わい尽くす。そんな新しい東京の楽しみ方が、ここから始まります。東京旅行や出張の際は、ぜひ少し早めに駅へ向かい、この新しいランドマークで濃密な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

文・写真:斎藤若菜

(旅と週末おでかけ!鉄道チャンネル)

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