くま川鉄道の全線運行再開を告知するチラシと沿線の路線図
9月20日、くま川鉄道が全線で運転を再開した(画像:くま川鉄道)

熊本県の人吉球磨地域を走る「くま川鉄道」が、2026年9月20日(日)の始発より人吉温泉〜湯前(24.8km)の全線で運行を再開しました。2020年7月の豪雨災害から6年2か月。球磨川第四橋梁が流され人吉温泉〜肥後西村で代替バスに乗り換える必要がありましたが、バスの運行を終了し、人吉から湯前までが再び一本の鉄路でつながります。
全線再開に伴い、旧川村駅が移転して「相良十島(さがらとしま)駅」へ、旧東多良木駅が「多良木青蓮寺(たらぎしょうれんじ)駅」へ改称されたほか、ダイヤや運賃表も一新されます。
本記事では、最新の時刻表・運賃(人吉温泉〜湯前 片道700円)をはじめ、往復で即元が取れる1,200円の「1日乗車券」、沿線各地で開催される全線開通記念イベントまで詳しくお伝えします。

9月20日の始発から全線で運転再開

くま川鉄道は2026年9月20日の始発から、人吉温泉〜湯前の全線で運転を再開しました。同社は9月19日のお知らせで、再開日を「令和8年9月20日(始発より)」と告知しました。
同社の沿革によると、くま川鉄道が被災したのは2020年7月4日の熊本県南豪雨です。球磨川第四橋梁が流失し、車両5両が浸水、川村駅はホームが流されました。同月20日から全線で代替バスの運行が始まり、2021年11月28日には肥後西村〜湯前が部分的に復旧。人吉温泉〜肥後西村はその後も代替バスが担ってきました。被災から6年2か月を経て、ようやく線路がつながったことになります。
代替バスは全線再開と同時に役目を終えました。定期券の利用も、今後は鉄道のみとなります。

川村駅は「相良十島駅」、東多良木駅は「多良木青蓮寺駅」に

全線再開と同じ9月20日、2つの駅の名前が変わりました。

【変更の内容】
旧・川村駅:相良十島(さがらとしま)駅へ改称。従来の場所から移転し、新しい駅舎になりました
旧・東多良木駅:多良木青蓮寺(たらぎしょうれんじ)駅へ改称。駅の場所は変わりません

相良十島駅は、被災後の浸水対策として場所を移し、「十島菅原神社」の近くに復旧したことから名前が改められました。多良木青蓮寺駅は、新たな門出を機に、以前からの要望に応えての改称になります。

乗り換え案内や時刻表で駅名を探す際には、新しい名前で調べるようにしてください。

時刻表はどう変わった? 下り12本・上り12本

くま川鉄道湯前線の2026年9月20日改正時刻表と運賃表
9月20日改正の時刻表と運賃表。全線を走る列車は下り12本・上り12本(画像:くま川鉄道)

9月20日に改正されたダイヤでは、人吉温泉〜湯前の全線を走る列車が下り12本・上り12本設定されています。

【人吉温泉発・湯前ゆき(下り)の発車時刻】
5時40分/6時25分/7時25分/10時22分/11時26分/12時40分/14時37分/15時29分/16時34分/17時34分/18時36分/19時44分

【湯前発・人吉温泉ゆき(上り)の発車時刻】
6時31分/7時31分/8時27分/11時32分/12時46分/13時36分/15時35分/16時40分/17時41分/18時43分/19時51分/20時37分

このうち下りの11時26分発と上りの12時46分発は「運転日注意」の列車です。時刻表には「土休日に運転、平日は不定期で運転」と注記があります。平日に乗る予定なら、この2本は当てにしないほうが安全です。

所要時間は、始発の人吉温泉5時40分発が湯前6時24分着で44分。上りの湯前6時31分発は人吉温泉7時18分着で47分かかります。途中駅は相良藩願成寺、相良十島、肥後西村、一武、木上、おかどめ幸福、あさぎり、東免田、公立病院前、多良木、多良木青蓮寺、新鶴羽の12駅で、全部で14駅です。

運賃はいくら? 人吉温泉〜湯前は700円

9月20日改正の運賃表では、人吉温泉からの大人運賃は次のとおりです。小児(12歳未満)は半額で、5円の端数は10円に切り上げます。

【人吉温泉からの大人運賃】
相良藩願成寺:190円
相良十島:220円
肥後西村:250円
一武:340円
木上:380円
おかどめ幸福:380円
あさぎり:430円
東免田:530円
公立病院前:530円
多良木:590円
多良木青蓮寺:650円
新鶴羽:700円
湯前:700円

沿線を往復するなら、1日乗車券のほうが安く上がります。大人1,200円・小人600円で、券売機で買えます。券売機があるのは人吉温泉、相良藩願成寺、あさぎり、多良木、湯前の5駅です。人吉温泉から湯前を単純に往復するだけで1,400円になるので、途中下車をするつもりがなくても元が取れる計算です。

券売機のない駅から乗るときは、1両で運転する列車なら後ろの扉から乗って整理券を取り、降りるときに運賃箱で精算します。2両以上の列車には車掌が乗っていて、車内で乗車券を売ってくれます。

2日間乗り放題のきっぷは?

くま川鉄道全線運行再開2day乗車券の大人券と小人券の券面デザイン
全線運行再開2day乗車券。左が大人2,000円、右が小人1,000円(画像:くま川鉄道)

全線再開を記念したフリーきっぷも出ています。ひとつは駅で売る紙のきっぷ、もうひとつはスマートフォンで買うモバイルチケットです。

【くま川鉄道全線運行再開2day乗車券】
価格:大人2,000円/小人1,000円
発売枚数:大人1,000枚/小人1,000枚(なくなり次第終了)
利用できる日:2026年9月20日・21日の2日間
販売期間:2026年9月14日9時〜9月21日の各駅営業終了まで
販売箇所:人吉温泉駅(大人券No.1〜700、小人券No.1〜700)/あさぎり駅(大人券No.701〜1,000、小人券No.701〜1,000)
備考:インターネットでの販売はなし

【くま川鉄道2日乗車券(モバイルチケット)】
価格:大人2,000円/小児1,000円(税込)
発売開始日:2026年9月16日
利用開始日:2026年9月20日
買い方:ジョルダンの「乗換案内」アプリで購入し、そのままスマートフォンで使う

紙の2day乗車券が9月20日・21日の2日間に限られるのに対し、モバイルチケットは9月20日以降に使い始められます。あとからゆっくり出かけたい人は、こちらを選ぶことになります。

このほか、9月20日からは区間別の回数券もスマホアプリ「QUICK RIDE」で買えるようになりました。10回分の料金で11回乗れます。

沿線各駅では記念イベントも

全線再開にあわせ、9月20日・21日の2日間、沿線各駅で記念イベントが開かれています。主催はくま川鉄道全線運行再開関連イベント実行委員会、後援は熊本県です。

その他にも沿線では全線運行再開を祝した関連イベントが予定されています。

全線運行再開の関連イベント
沿線各駅の記念イベント一覧。人吉球磨地区の各町でも関連企画が続く(画像:くま川鉄道

人吉・球磨への行き方

くま川鉄道が走る人吉・球磨エリアへは、空港と高速バスを使うルートが案内されています。

【くま川鉄道が示すアクセス】
鹿児島空港から高速道路で約50分(くま川鉄道の「おすすめ」)
阿蘇くまもと空港から高速道路で約70分
鹿児島空港から高速バス「きりしま号」などで約50分
阿蘇くまもと空港から「なんぷう号」などで約1時間50分
福岡(博多・天神)から「フェニックス号」などで約3時間
熊本市街地から「なんぷう号」「きりしま号」などで約1時間30分
新八代駅から「B&S宮崎」で約40分
人吉IC・人吉球磨スマートICから市街地まで車で約5分

くま川鉄道の湯前線は、1924年(大正13年)3月30日に国鉄の路線として開業し、1989年(平成元年)10月1日に第三セクターへ移りました。利用客の8割を沿線の高校へ通う生徒が占める、地域の通学路でもあります。その線路が6年ぶりに全部つながりました。
6年の時を経て、再び人吉球磨の豊かな田園風景を駆け抜ける「くま川鉄道」。新しく生まれ変わった駅から、温かいおもてなしと秋の風を感じる鉄路の旅へ出かけてみてはいかがでしょうか。
(画像:くま川鉄道)

鉄道チャンネル編集部
(旅とおでかけ!鉄道チャンネル)