東海道・山陽新幹線にニューフェイス、2020年に登場――。JR東海は、2020年に営業運転を始める予定の新型新幹線車両「N700S」のイメージデザインを発表しました。現行のN700系に似た先頭形状ですが、よりエッジをきかせたシェイプに、鋭角のヘッドライトなどが特徴です。

先頭形状は「デュアル スプリーム ウィング形」に進化

先頭形状は、N700系シリーズの形状を進化させた「デュアル スプリーム ウィング形」。小牧研究施設での技術開発の結果、左右両サイドにエッジを立てた形状とし、走行風を整流することで、さらなる環境性能向上が図られています。

エッジをきかせた部分は、前照灯から後方へと続くライン。ここに凸型のエッジを設け、走行風を整流し、微気圧波・車外騒音・走行抵抗・最後尾車動揺などの低減を図ります。

また、N700系列よりも鋭角スタイルに進化した前照灯は、LEDライトを新幹線で初採用。省エネルギー化・照度向上・長寿命化を実現。前照灯のサイズも20%拡大し、照射範囲を広げ、視認性も向上させます。

塗色は、従来の東海道新幹線車両などと同様、白地に青帯を踏襲。青いラインは、先頭部で、“Supreme(スプリーム)”の「S」を表現しています。

客室は曲面を多用し、よりくつろげる空間に

客室は、機能性を考慮しつつ、くつろげる空間をめざし、柔らかな曲面を採用。グリーン車では「ゆとりある空間と個別感の演出」を、普通車では「機能的で快適な空間」をコンセプトにデザイン。

客室デザインでは、空調吹出口を側面パネルと一体化し、広い吹出口を確保することで、室内温度の均一化を実現。グリーン車では窓側の座席ごとに荷棚と一体化した大型の側面パネルを採用し、一人ひとりの空間を演出しています。

LED間接照明は、天井を光学的に最適な形状とすることで、室内照度を均一化。停車駅に近づいたさいに、荷棚の照度を上げ、乗客に荷棚にある荷物への注意を促します。車内テロップには、フルカラー液晶を採用し、画面サイズを拡大することで、案内情報の視認性を向上させます。

長時間座っていても快適な座席に、普通車座席全席にコンセント

グリーン車座席は、N700系の「シンクロナイズド・コンフォートシート」をさらに進化させ、リクライニングの回転中心の変更とともに、座面と背もたれの角度を最適化することで、リクライニング時の太もも裏側への圧迫感を低減するなど、長時間座っていても快適な座席に。

また、フットレストを大型化しつつ、足元スペースを拡大し、読書灯の照射範囲も拡大させました。

普通車座席は、背もたれと座面を連動して傾けるリクライニング機構を採用し、より快適な座り心地を実現。グリーン車同様、全座席にコンセントが設置されます。

いっぽう、デッキは、N700系を踏襲し、曲面形状のパネルを採用。トイレは壁面の配色を光沢のあるツートーンカラーとすることで清潔感とやすらぎを提供。スイッチ類を集約した操作パネルを採用し、利便性を向上させています。

こうした新デザインを反映させた「N700S確認試験車」が、2018年3月に登場する予定です。



N700Sの客室内イメージ。上がグリーン車、下が普通車