動き始めた「ヒトと動物の共生システム」_麻布大学が教えてくれた、動物といっしょに生きるヒント

2018.11.05

「動物との共生がもたらすヒトの心身の健康という着眼で、喘息リスクの低下、アトピーの軽減、不安性の軽減、肥満・循環器障害・消化器疾患・トラウマ症候群・自閉症などの改善が期待できる」

そんな衝撃的な事実を、とある大学の教室で知った―――。

ここは神奈川県相模原市。

JR横浜線 矢部駅から歩いてすぐの静かな住宅街に、近代的な学舎と馬場や校庭が絶妙な風景をつくる麻布大学。

<麻布大学>

その大学名からでは想像できないかもしれないけど、これまで獣医師の輩出は国内最多という実績を積み重ねている。

この大学には、獣医学部と生命・環境科学部の2学部が存在。

両学部のなかに、獣医学科、動物応用科学科、臨床検査技術学科、食品生命科学科、環境科学科の5学科があって、獣医学、畜産学、動物応用科学、生命科学、健康科学、環境科学が学べる…と。

今回、そんな麻布大学のリアルな学風を体感すべく、10月27・28日に開催された大学祭に突撃。

この大学にしかない個性的な研究や取り組み、それを学びに集まる学生や地域の人たち、そしてどの大学にもある学生たちの笑い声、はしゃぎ声が、聞こえてきた。

まず、麻布大学で走り始めたでっかい研究プロジェクトを体感しに、獣医学部 動物応用科学科 菊水健史教授の講演を聞きに……。

「ヒトとイヌ・共生と互恵関係」ってなに?

菊水教授は、「動物との共生がもたらすヒトの心身の健康」をテーマに講演。

「ヒトと動物との微生物クロストーク」「ヒトと動物における認知的インタラクション解析」「ヒトと動物との共進化遺伝子の解析」といった、タイトルだけでは難しいと思う内容を、YouTube動画や統計数値などを示してやさしく教えてくれた。

とくに犬(イヌ)の話がおもしろい。

「オオカミと共通の祖先種をもち、どこからか独自の変化を遂げた」
「オオカミと比べ、ヒトとのコミュニケーション能力に長ける」
「とくに視線を用いたヒトとイヌのコミュニケーションは重要」

といった言葉が印象的。受講者は熱心にメモメモメモ……。

冒頭の「動物との共生がもたらすヒトの心身の健康という着眼で、喘息リスクの低下、アトピーの軽減、不安性の軽減、肥満・循環器障害・消化器疾患・トラウマ症候群・自閉症などの改善が期待できる」は、この講演会で菊水教授が教えてくれた衝撃的な事実というわけ。

こうした研究は、2016年度文部科学省の私立大学研究ブランディング事業に採択された事業の一環。

麻布大学は、同大学の専門性を活かし、同事業のなかで「ヒトと動物の共生システム」を科学的に解明。ヒトの健康社会の実現をめざし、動き始めている。

ちなみに、この講演には麻布大学 浅利昌男学長 も出席。

「麻布大学の麻布大学らしい、唯一の取り組み。ぜひ体感して」と、会場に集まった多数の受講者を前に語った。

見て触れて実感できる動物共生科学、親子やグループで体感

また、パネル展示や実験、ワークショップで動物共生科学を学ぶコーナーもあり、隣接会場の生命・環境科学部の実習体験とあわせ、多くの来場者で大にぎわい。

この日は、麻布大学「動物共生科学の創生による、ヒト健康社会の実現」(文部科学省 私立大学研究ブランディング事業)に参加する3グループの研究活動が紹介され、パネルやツアー形式でそのリアルを実感できた。3グループの研究はこんな感じ。

◆村上賢グループ:エネルギー浪費タンパク質Ucp1の遺伝子を軸とした動物の生産性向上と保健

◆村山洋グループ:動物系統進化における認知症病態の比較解析に基づく認知症の共進化的考察

◆大倉健宏グループ:ペットフレンドリーなコミュニティの条件―アメリカ・相模原におけるコミュニティ疫学調査の実施と「ミニ・パブリック」を対象とした「討論型世論調査」(Deliber ative Poll DP)の実施)

また、研究室ツアーで、次のような研究室も見学できた。

◆阪口雅弘グループ:イヌの細菌叢からのアレルギー抑制細菌の探索

◆紙透伸治グループ:Chemical geneticsによるウイルス感染症の病態原因遺伝子の同定

さらに、別会場で1グループが実施。

◆関本征史グループ:ヒト-動物の共生による発がん性感受性の変化の解析:より健康な環境づくりに向けて

……うーん、ちょっと難しい。そう感じた親子や見学者たちは、ワークショップへ。学生たちと「なにに興味があるの?」「動物のお医者さんになりたいんだー」なんて話しながら熱心に作業する姿が、楽しそう。

この大学でしか味わえない逸品、そして変わらない大学祭の風景

最後は、麻布大学 大学祭のリアルを体感。

ここで遭遇したソーセージがすごい。これ、動物応用科学科 食品科学研究室 坂田亮一教授がつくった、「ガチで本場ドイツのソーセージ」。

国際食肉産業見本市(IFFA、フランクフルトMesse)で開催される国際ハム・ソーセージコンテストにもラインナップされる逸品。

「この味を体感できるのは、日本では麻布大学の大学祭だけ」というわけで、坂田教授と学生さんと記念撮影して「いただきまーす」。

もうここまできたら、学生たちと乾杯してもいい。

ビールにするか、ワインにするか、それともせっかく麻布大学にきたんだから、乗馬を体験するか。

麻布大学で動き始めた「動物共生科学の創生による、ヒト健康社会の実現」を感じながら……。

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