「電車の顔図鑑 JR線を走る鉄道車両」

江口明男さんの「電車の顔図鑑 JR線を走る鉄道車両」は、前回「鉄の本棚」で俎上に乗せた「時刻表探検」と同じ「鉄旅BOOKS」のシリーズ2冊目です。実は「欲しいなぁ」と思っていますが未だネット書店で”ポチッ”としていません。9月15日(金)に刊行されました。

鉄道精密イラストの第一人者である江口明男さんのイラスト集です。「電車の顔」と銘打たれていますから車両を正面から「顔」が描かれているのでしょう。

JR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州、それにJR貨物、JR7社の現有形式(2017年4月1日現在のJR7社の所属形式をほぼ収録)と、鉄道史に残る旧国鉄の名車、計198形式484両の顔が鉄道模型スケールで描かれています。新幹線から通勤電車、ローカル線を走るディーゼルカー、現在の車両だけではなく、鉄道史に名を残す名車両は、鉄道車両の進化・歩みについての読み物として取り上げられます。

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すべて鉄道模型スケールでの掲載で、大きなものは縮尺1/45のOゲージ、中サイズは1/80(新幹線は1/87)のHOゲージ、小サイズは1/150(新幹線は1/160)のNゲージスケールで収録されています。タイトルは「電車の顔図鑑」となっていますが、気動車や機関車、客車も取り上げられています。

160ページの目次(章立て)は以下の様になっています。
1章 新幹線 新幹線のパイオニアたち/現有形式解説
2章 特急形電車 日本をリードした国鉄の特急形電車/現有形式解説
3章 近郊形電車 現有形式解説
4章 通勤形電車 現有形式解説
5章 特急形気動車 全国特急網の礎を築いたディーゼルカー/現有形式解説
6章 一般形気動車 気動車大国と呼ばれた1960年代/現有形式解説
7章 機関車・客車 現有形式解説

やっぱり欲しいなぁ。(たぶん時間の問題、晩酌の後に”ポチッ”としそうです)

「国鉄青春日記 昭和車掌の”人情”物語」

檀上完爾さんの「国鉄青春日記 昭和車掌の”人情”物語」は、同じ版元(天夢人)から出た新しいシリーズ「鉄旅LIBRARY」の1冊目ですが、既に”ポチッ”として届くのを待っている状態です。たぶん今日届きます。

版元の天夢人は、雑誌『旅と鉄道』(発売は山と渓谷社)『SINRA』(発売は新潮社)を発行しています。

「国鉄青春日記 昭和車掌の”人情”物語」は、雑誌『旅と鉄道』に2012年1月号から2013年11月号まで掲載されたものです。著者の檀上完爾さんは、残念ながら2016年に逝去されています。檀上さんには「赤い腕章 昭和の国鉄車掌物語」(オリジナルは鉄道図書刊行会/1967/入手困難ですが、クラッセ/2013は入手可能)や『旅と鉄道』に掲載されたものを1冊にまとめた「駅長の帽子 鉄道人生24人の軌跡」(心交社/文庫/2001/入手困難)、「乗物に生きる にんげんドキュメント」(現代旅行研究所/1980)など多数の著作があります。

檀上完爾さん、実は筆者の母親と同じ昭和4年(1929年)生まれなのです。東京三鷹の御出身、昭和20年に復員後、国鉄に勤めはじめた17歳、東北本線水沢駅での体験から昭和46年まで旧国鉄に勤務し、盛岡・東京車掌区で車掌として乗務されました。35年から、国鉄東京鉄道管理局広報課勤務。46年3月に退職という経歴です。

内田百閒先生の子分「ヒマラヤ山系」(平山三郎)氏は1917年(大正6年)生まれで国鉄の機関誌「國鐵」の編集に携わっていましたから、旧国鉄広報では檀上さんの先輩になるわけです。

筆者は、檀上完爾さんを知りませんでした。雑誌類を(10代から20代には青土社や工作舎の雑誌、小林彰太郎さんが生きていらっしゃる時代のカーグラフィック誌は講読していましたが以降は)全く読まないので世の中のことに疎いのです。この10年くらいはネット書店で本やCDを買うのでリアルな書店にもほとんど行きません。これはちょっと問題がありますね。いずれにしてもこの「国鉄青春日記 昭和車掌の”人情”物語」が初めて読む”檀上本”になります。慌てて檀上完爾さんの古書を買い求めました。

余談ですが1975年〜2013年と40年分のCG(カーグラフィック)誌の容量と重量たるや、増刊などを含め500冊で凄まじいものでした。1冊2kgくらいあったのです。約1トンのCG誌を担いで転勤なども含め8回も引っ越ししたのだからウンザリします。現在は「どうしても捨てたくない」数冊を残して全て古書店に引き取ってもらいました。

ちなみに工作舎の「遊」(1971〜1982)、音楽誌「ニューミュージックマガジン」(1970〜1976)「Rockin’on」(創刊〜メジャー流通に乗るまで)、青土社の「ユリイカ」「現代思想」誌(1972〜1983年の11年分)などを、バブル期に処分したらすごく良い値段が付きました。同時に塚本邦雄、澁澤龍彦、種村季弘、加藤郁乎、コーベブックス、奢灞都館などもまとめて古書店に引き取ってもらったのですが、現在では想像もできない値段でした。

檀上完爾さんの著作は順次読んで「鉄の本棚」に感想をアップしたいと思いますので宜しくお願いします。

写真は70%の書物を処分してしまう前、2008年頃の書斎です。9畳間の周囲が全て書架。今は無き夢の跡ですね。酸性紙の書物(戦後の書物)は時間が経てばホコリになっちゃうのです。

(写真・記事/住田至朗)