長岡駅、午前11時。

スマホでピッとやってモバイルSuica特急券を手に、上越新幹線Maxとき309号で長岡へ。

得意先が待つ米山の現場へむけて、次に乗る列車が特急しらゆき4号。

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4番ホームに、青白い光。新潟を10時21分に発った列車が、定刻通り11時15分に入ってきた。

485系快速くびき野の後を継ぐ、フレッシュなスタイルのE653系、4両編成。

485系特急ひたちを一掃したE653系フレッシュひたちの新潟版で、信越線を行く。

信濃川を鉄橋で越えると、鯨波から先の海岸線ルートへむけて、山道を駆け抜ける。

車内改札がやってくる。「柏崎まで。750円です」。

手渡されたレシートタイプの自由席特急券には、「3014M」「長岡運輸区」の文字。

乗客は、新潟からのスーツ姿が目立つ。といっても、乗車率は3割程度。

列車は渋海川がつくる段丘の集落に沿って走り、塚山峠越えに挑む。

寄り添う新潟県道11号柏崎小国線が、ぐねぐねと急カーブを重ねるなか、線路はまっすぐ行く。

列車が大きく左へ傾くと、峠を抜け視界がひろくなり、柏崎市内に。

信濃川がつくる平地から、ひと山越えて海側の街へ―――30分750円。

柏崎でE653系を見送ると、むかいのホームからなつかしい息遣いが聞こえてきた。

ウゴゴゴゴゴ……とコンプレッサーの音、ブーンというモーター音。115系だ。

次はあれで3駅。

先方からスマホに着信。得意先も、まさか電車で現場にきてるとは思うまい。