日本政府が10月5日に開いた第19回未来投資会議(議長:安倍晋三首相)では、新たな成長戦略の基本方針のなかに、国内の顧客本人確認(Know Your Customer:KYC)の規制緩和策が含まれた。

こうしたフィンテック規制緩和の先には、本人確認がこれまで以上に手続きしやすくなり、オンライン金融サービスの利用機会増加や利便性が向上するといわれている。

また警察庁は、金融サービスでの口座開設時に、顧客本人確認手続きを緩和させると発表。

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犯罪収益移転防止法施行規則の改正で、顧客本人確認の手続きをオンラインで完結できるようになってきた。

これまでは、身元の最終的確認のために、本人確認書類に記載された住所へ転送不要郵便を送る必要があったが、こうした郵送の手間も解消されつつある。

また、今回の新成長戦略の基本方針では、資金移動業者による取引一件あたりの送金上限を100万円に制限している現行の規制の見直しも示された。

TransferWise も来年からオンライン本人確認を展開

こうした国内のフィンテック規制緩和の流れに呼応したのが、早くて安い海外送金を展開するフィンテック海外送金サービス「TransferWise」を展開する TransferWise Ltd.。

同社はフィンテック規制改革をうけ、国内ユーザを対象に、オンラインで完結する顧客本人確認手続きを2019年早々から TransferWise 内で展開していく。

TransferWise ルーカス・メイ バンキング部門担当責任者は、「TransferWise Ltd.は、日本の警察庁や金融庁による本人確認手続き緩和に向けた動きを歓迎する」と伝えた。

「顧客本人確認の手続きをオンラインで完結できることは、フィンテック企業にとって大きな意味がある。こうした緩和措置は、フィンテック・ビジネスのスタートアップと、その事業拡大にふさわしい環境へ、日本が大きく前進したことを意味している」

「本人確認手続きがオンラインで完結できることで、日本の顧客はよりスピーディに、よりかんたんに送金できるようになる。ユーザー・エクスペリエンスの向上は、こうした金融サービスの利用機会を増やし、フィンテック分野のイノベーションや競争をうむ原動力にもなる。TransferWise のようなオンライン金融サービスを利用するユーザの利便性向上にもつながるはず」

TransferWise の海外送金サービス利用者は400万人を超え、毎月の送金額は30億ポンドを上回る規模へ。またサービス利用者は、一日当たり300万ポンドものコストを節減できているという。

<TransferWise>