※この「私鉄に乗ろう」の写真は、筆者がプライベートな旅で撮影したものです。鉄道会社さんから許可をいただいていませんので、乗車券があれば誰でも入れる場所から、手持ちで撮影したスナップ写真です。ポケットに入るコンパクト・デジタルカメラ(SONY DSC-WX500)で撮影しています。2018年4月10日(火)撮影。

【私鉄に乗ろう 64】伊勢鉄道伊勢線 その1 伊勢鉄道は不思議な第三セクター

というのは、過去に何度かF1GP開催時に名古屋から「快速みえ」で鈴鹿サーキット稲生駅に降りたことがあって、当時は「何でJRが第三セクターの区間を走っているのかな」ぐらいに思っていました。今回、あらためて伊勢鉄道に乗りに行って、その不可思議な成り立ちについて知ることになったのです。

名古屋から青春18きっぷなどで南紀方面、伊勢志摩方面に行くには関西本線で亀山駅まで行って、逆方向に向かう紀勢本線に乗換える必要があります。この時間ロスと方向転換を無くすために日本鉄建公団が主要幹線(C線)として1965年(昭和40年)に着工し1973年(昭和48年)に旧国鉄伊勢線が開通しました。

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しかし運転される列車が特急1往復、急行3往復、普通7往復と少なかったのです。その当時、並行する近鉄線は特急44往復、急行34往復、準急9往復、普通62往復と比較にならない運転本数でしたから、伊勢線の利用者は低迷しました。1983年(昭和58年)には超赤字路線として第2次特定地方交通線に選定され、1987年(昭和62年)には第三セクターの伊勢鉄道に転換されたのです。

伊勢鉄道転換後、起点を河原田駅に変更しています。路線距離は22.3km。10の駅があります。何と言っても主要幹線として建設されていますからカーブは少なく特急や快速が速度をあげて走るのに相応しいのです。そして転換後も最高速110km/hの「特急南紀」「快速みえ」が伊勢鉄道線を通って運行されています。しかし、非電化複線というのが少し不思議です。

では乗ってみることに

当初は河原田駅で乗り換える予定をたてていたのですが、乗っていたJR関西本線の車掌さんが通りかかったので訊いたら「河原田駅の階段を登るのは意外にキツいですよ」とのことなので、急遽、四日市から伊勢鉄道伊勢線に乗ることにしました。筆者は時折膝が登り階段で痛むのです。特にこの時は長征の重い荷物を持っていたのでキツイ登り階段は避けたかった。

余談です。好んでローカル線に乗っては撮影していますが、これがほとんどの場合、駅にエレベーター、エスカレーターの設備が無いのです。重い荷物を持っての階段登り降りは膝が痛む老人には苦行。溜め息をついて階段を見上げていたら若い鉄道スタッフがヒョイとトランクを持って跨線橋を渡ってくれたことがあって嬉しかったな。

閑話休題。

四日市でJRを降りると2番線ホームの先50mに切り欠きの3番線があって伊勢鉄道伊勢線の乗り場です。JRの駅名標を撮っていたら・・・

伊勢鉄道伊勢線、津行の発車ベルが鳴っているのが聞こえたので慌ててホームを走りました。伊勢線は1時間に1本なので、これを逃すと1時間便々と待たなければならないのです。

幸いワンマンの運転士さんがミラーを見ていた様で、待ってくれました。しかし伊勢鉄道の駅名標などが撮れませんでした。

後方展望ですが、奥の島式ホームがJR四日市、手前の単式ホームが伊勢鉄道の四日市です。

伊勢鉄道のホーム、必要以上に長いですよね。この日は太陽が左斜めから微妙に逆行で射す時があってハレーションを起こしています。

側線が多いのは左後方(四日市駅の東側)に大きなJR貨物四日市駅があるからです。

伊勢鉄道伊勢線は河原田駅の手前まで関西本線を走ります。関西本線は電化されていますが南四日市駅までは単線区間です。左に分岐するのは四日市コンビナートに行く貨物線。

四日市駅〜南四日市駅間は3.2km。単線が続いています。

道路の下をくぐって南四日市駅、広大な構内が見えます。

工場地帯にあるのでかつては多くの貨物用専用線が敷かれていたのです。貨物駅としては臨時便がある様です。

島式ホーム1面2線、1番線には関西本線の313系電車が停まっています。単線部分の交換待ちでしょうか。左に構内貨物用スイッチャーが2両います。

313系電車は快速の名古屋行です。

伊勢鉄道伊勢線ですが、まだ関西本線を走っています。次回【私鉄に乗ろう 64】伊勢鉄道伊勢線 その2 で自社線に入ります。

(写真・記事/住田至朗)