※この「私鉄に乗ろう」の写真は、筆者がプライベートな旅で撮影したものです。鉄道会社さんから許可をいただいていませんので、乗車券があれば誰でも入れる場所から、手持ちで撮影したスナップ写真です。ポケットに入るコンパクト・デジタルカメラ(SONY DSC-WX500)で撮影しています。2018年4月6日(金)撮影。

【私鉄に乗ろう 65】和歌山電鐵貴志川線 その1

1916年(大正5年)山東軽便鉄道によって三社(沿線の日前宮、龜山神社、伊太祁曽神社)への参詣鉄道として開業。旧国鉄紀勢本線建設にともなって現在の和歌山駅に起点を変更。1931年(昭和6年)和歌山鉄道に社名を変更、1943年(昭和18年)には全線電化。1961年(昭和36年)南海電気鉄道貴志川線となりました。しかしモータリゼーションと少子化などで経営が苦しく2004年(平成16年)に南海電鉄が撤退を発表。和歌山県、和歌山市、貴志川町(当時)が貴志川線存続で合意し事業の引継先を公募。その結果両備グループの岡山電気軌道が選ばれました。

岡山電気軌道の引き継ぎによる運行開始が2006年4月からとなり、南海電鉄が撤退期限を延長。2006年(平成18年)に岡山電気軌道100%出資の和歌山電鐵が設立されて運行が引き継がれました。

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営業キロは14.3km。軌間は1067mm。全線単線で直流1500Vで電化されています。14の駅があって、交換可能な駅は3つ。最高速度は60km/h。

車両は南海電鉄から引き継がれた2270系電車ですが、親会社岡山電気軌道9200形電車(MOMO)のデザインに関わった水戸岡鋭治氏がリニューアルデザインを担当し、2006年8月から「いちご電車」、2007年7月から「おもちゃ電車」、2009年3月から「たま電車」、2016年6月から「うめ星電車」が運行されています。

たま駅長でブレイク

世間的には、2007年和歌山電鐵から正式に駅長に任命された貴志駅の猫駅長「たま」の知名度が高いでしょう。たまは貴志駅の売店小山商店の飼い猫。2010年には駅舎も猫をモチーフにしたものに改築されました。2015年6月に逝去。駅構内にたま神社が作られ「たま駅長」はとうとう神様になっちゃいました。同時にニタマ(たまⅡ世を襲名)が二代目駅長に就任しています。個人的に猫好きではないので、ジョークにしてもニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ウォール・ストリート・ジャーナルから新華社通信まで「たま駅長騒動」を取り上げるのは「ちょっとなぁ」とも思わないでもないのですが、まぁ至極長閑なニュースなので平和で良いです。確かに「たま駅長」の経済効果は大いにがあったのでしょう。和歌山県や和歌山電鐵が感謝するのは分かります。今回も貴志駅の駅長室の前には人集りができていました。あれだけ写真を撮られている猫も珍しいでしょうね。写真はこれでも人が減るのを待って撮ったものです。

JR和歌山駅で乗り換えました

ここで、またもや残念で悲しいニュースがあります。JR和歌山駅の2・3番と4・5番ホーム上にあった「駅そば」が無くなっていました。(号泣)

駅員さんに訊いたら「2年くらい前に無くなっちゃったねぇ」とのこと(実際は関西弁で「のおなってもおた」)。超がっかりです。ホームで風に吹かれながら麺類をすすれる場所が減ってゆくなか、貴重な存在だったのです。しかも和歌山ラーメンが値段のワリには美味しくて、過去、何度か和歌山に来る度に食べていました。ここまで空腹を我慢して来たのになぁ。

駅前に出て見ましたが駅そばというか立喰そばはありません。悲しいなぁ。新大阪のホームで食べてくれば良かったなぁ。

気を取り直して(空腹を抱えたまま)東口に出ます。駅前はコンビニ以外ほとんどやっていない様でした。

仕方が無いので再びJR和歌山駅の地下道に入って和歌山電鐵ホームに出ます。改札口で1日乗車券(780円)を購入。終点の貴志駅を往復するだけでも20円お得です。ホームには2007年に登場した「おもちゃ電車」が待っていました。

さっそく車内に。水戸岡鋭治さんらしいデザインです。

先頭部、ここから前面展望を撮ります。

車内の銘板。今は総合車両製作所(J-TREC)になった東急車輛の大阪(1968年=昭和43年に帝國車輛工業を吸収合併)昭和45年(1970年)製。大阪万博の年に作られた南海電鉄2200系電車です。万博公園の太陽の塔と同期。。これを1995年(平成7年)に貴志川線用に改造したものが和歌山電鐵2270系。「南海車両工業1995更新」の銘板がこれを示しています。そして南海電鉄から和歌山電鐵に無償譲渡された後、2007年(平成19年)に水戸岡鋭治さんのプロデュースで内外装がリニューアルされています。それが「大阪車輛工業2007」の銘板。

発車まで少し時間があったのでホームに降りて、こちらが貴志行の先頭。途中駅の伊太祈曽行です。

ホームは頭端式で改札の奥に見える階段でJR和歌山駅の地下道に繋がっています。

駅名標。向こう側はJR線。

そろそろ出発かな。【私鉄に乗ろう 65】和歌山電鐵貴志川線 その2 に続きます。

(写真・記事/住田至朗)