「ちちぶ11号。右側の窓側席、1枚」

「出発時で右でよろしかったですね?」

一瞬、なんのことかわからなかったけど、そうか。飯能で進行方向が逆を向くんだった。

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特急ちちぶ11号、西武秩父行き。

秩父で省庁の仕事があって、クルマで行くか電車で行くか迷った。関越自動車道へと続く環状8号線の混雑が予想できないってことで、電車にした。

池袋。2編成分あるホームの奥、特急ホームに行くと、待っていたのは10000系(ニューレッドアロー)クラシックってやつ。

先代レッドアローのカラーに塗ったアイボリー系のボディ。車内はだいぶ使い込んだ感がいっぱいあるけど、山岳特急の風格というか、秩父への山を何度も登った筋肉質な身体とでもいうか、なんかいい。

この10000系でも大きな窓を感じるのに、こんどの新しい001系は、もっと窓がでかくなる。

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その001系は、小手指の車庫に2本いた。その前に、池袋出発直後に、西武鉄道のあたらしい線路上ビル「ダイヤゲート池袋」も見えた。

車内は、これがまた意外と盛況。秩父へ行く女子グループがインスタねらいでぱしゃぱしゃ。出張と思われる女性がパソコンかたかた。年配のグループ旅行……乗車率は6割ってとこかな。もっと少ないと思ってたけど、車内はきゃははきゃはは笑い声も飛び交って、にぎやか。

飯能。座席を自分で逆方向に転換して、座り直す。こんどは左側車窓。日差しが差し込む。

いよいよここから山登り。国道299号と高麗川といっしょに急坂をことんことんと駆け上がっていく。このあと仕事がなければ、ビールでもあけながらいけたのに……。