風祭駅を出ると28パーミルの勾配を登ってゆきます。

右の建物は箱根登山鉄道の入生田(いりうだ)検車区。1.0kmで標高54mの入生田駅。

右手前に分岐する線が箱根登山鉄道の検修施設に繋がっています。複雑な三線軌条のポイントです。検車区内は標準軌(1,435mm)です。小田原駅まで箱根登山電車が乗り入れていた2006年(平成18年)まではこの三線軌条が小田原駅まで続いていたのです。

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日本国内で三線軌条を見ることができるのは、JR東日本の海峡線新中小国信号場から青函トンネルを通るJR貨物の貨物列車用に敷かれた三線軌条が北海道の木古内駅まで敷かれています。秋田新幹線にも奥羽本線神宮寺駅から峰吉川駅までの間が三線軌条になっています。2015年(平成27年)3月に撮った写真がありました。撮影が縦だったので加工してあります。新幹線は前面展望は撮れませんから奥羽本線からの前面展望です。

※2015年3月撮影

筆者の自宅近所にも三線軌条があります。京浜急行逗子線の神武寺駅から金沢八景駅の先に総合車両製作所(かつての東急車輛製造)の区間です。総合車両製作所に入出場する車両用のものです。神武寺駅からJR横須賀線の逗子駅までは狭軌(1,067mm)。ユニークなのは京浜急行線内で駅の部分では三線軌条がホームとの干渉を避ける形になっていることです。こんなポイントはここにしか無いと思います。

※2017年4月撮影

すみません。三線軌条が好きなのです。

1番線は狭軌(1067mm)だけですが、2番線は三線軌条です。

上り2番線の駅名標。1935年(昭和10年)開業。2006年(平成18年)以降は登山鉄道車両の旅客扱いはありません。

三線軌条を小田原行の上り列車が来ました。車両の位置で狭軌(1,067mm)の軌道を走っているのが分かります。

帰りに撮った写真。ちょうど上の写真の列車から撮った前面展望の形になっています。何度見ても三線軌条の複雑なポイントに惹かれてしまいます。

同様に帰路に上り列車から撮った前面展望。左に分岐した標準軌(1435mm)が箱根登山鉄道の検車区に入っていきます。車庫内に”3000形アレグラ”らしき姿が見えます。しかし花粉症の薬を思い出しちゃう名前ですよね。スイス・レーティッシュ鉄道の車両に付けられた愛称なんですけど。

これは帰路で下車して撮った写真。住宅があってよく見えませんが、検車区の建物があります。歩いて検車区の横まで行きましたが中の写真は撮れませんでした。

上りロマンスカーが列車交換して出発して行きました。

往路に戻ります。信号が青になって出発します。

三線軌条が大好きなのでついつい三線軌条の写真を並べてしまいました。

次は乗換駅の箱根湯本です。【私鉄に乗ろう95】箱根登山鉄道 その3 に続きます。

追記:

御存知の様に2019年10月12日、関東から東北を襲った超大型の台風19号が箱根登山鉄道に甚大な被害をもたらしました。箱根周辺では、1,000ミリを越えるトンデモナイ雨量が記録されたのでした。ニュース映像などを見る限りでは路盤や橋梁などの被害は凄まじい状態です。長い歴史と風雪に耐えてきた箱根登山鉄道が箱根湯本駅と強羅駅間で運休という事態になっています。

箱根登山鉄道は運行開始後、1923年(大正12年)の関東大震災では建造物のほとんどが倒壊してしまい、復旧して運行が再開されるまでには1年近い期間がかかりました。他にも事件や事故に遭遇し箱根登山鉄道は創立以来最大の危機を迎えたのでした。米一升が42銭という時代に300万円という被害総額だったのです。

今回の台風被害では、宮ノ下〜小涌谷間で23mも線路が押し流されたり、崩落した土石が線路を埋めている区間、橋梁流失など20ヵ所以上などのニュースが流されています。

事態はなお流動的ですが、被害に遭われた箱根登山鉄道にお見舞い申し上げるとともに、一日も早い箱根登山鉄道の復旧を心からお祈りいたします。

また復旧などの情報も随時。お知らせいたします。