読鉄全書 池内紀・松本典久 編 東京書籍【鉄の本棚 23】その25

2019.07.01

片岡義男「映画に描かれた東京と電車ーー『珈琲時光』」(2017年)

ここ十年ほど、全く書店を覗いていません。鉄道写真を撮りに旅行に出る以外、ほとんど外出しないこと、外出しても買物などをする自宅近隣に書店がないこと、ほとんど必要な書籍はAmazonで買ってしまうこと、等々から具体的な書店に入ることが絶えて無いのです。愛用していた新宿の紀伊國屋書店がニトリになってしまったのでフラッと立ち寄る習慣がなくなってしまいました・・・。

書店に行かないので1939年(昭和14年)生まれ、80歳の片岡義男さんが今も人気作家なのか否か皆目分かりません。

実は、学生時代の友人が片岡義男ファンで、20代の時に片岡義男さんの角川文庫を大量にもらいました。それで1980年代に刊行されていた赤い背表紙の角川文庫をほとんど読みました。書架には晶文社刊の筺入り本『31Stories』もあります。太田出版から刊行されたエッセイのシリーズ『僕が書いたあの島』『本を読む人』『自分を語るアメリカ』『なぜ写真集が好きか』『「彼女」はグッド・デザイン』『彼の後輪が滑った』は好きで今でも時々読み返します。

片岡義男さんは30年以上前にFM放送のパーソナリティーを長くやっていたので声も覚えています。タイトルは「気まぐれ飛行船」。懐かしいな。

さてこの文章は書き下ろしで「映画に描かれた東京と電車ーー『珈琲時光』」、片岡さんが78歳の時の文章。

残念ながら2004年(平成16年)に公開された『珈琲時光』という映画を観ていません。小津安二郎監督に捧げる21世紀の『東京物語』なんだそうです。

ヴィム・ヴェンダースや山田洋次監督のオマージュもあるし1953年公開の『東京物語』は映画というエンターテインメントの絶頂期を象徴する作品ですね。私も何回か観ています。

文章は、映画『珈琲時光』の展開に沿いながら主人公の住む都電荒川線鬼子母神のアパートの映像描写について。群馬県高崎市出身の主人公と高崎の両親、実家の描写。鬼子母神の主人公のアパートを訪ねる両親。主人公はフリーランスのライターで台湾出身の作曲家江文也を取材しています。主人公の取材先で、個人的には高円寺の都丸書店が懐かしい。学生時代にここで何冊も古書を買ったので。

ところが、全体を通して『珈琲時光』の印象が散漫でよく分かりません。普段は殺いだ様にシンプルな片岡義男さんの文章も、どこかしら曖昧なんです。

鉄道は、じつは、きわめて聴覚的なものであり、電車が基本的な骨格である東京では、鉄道に関する聴覚的なものは、無尽蔵にある。それにどう反応するかは、その人の普段のありかたがきめる。本書 p.389

正直言って、この本に収録された文章の中で唯一「映画に描かれた東京と電車ーー『珈琲時光』」はよく理解できませんでした。何度か読み返しましたが、お手上げ。文章を虚心坦懐に読めば意自ずと通じる、と言うほどナイーブではありませんが、参りました。

気になる方は実物に当たってください。アタクシには何が言いたいのか分かりません。

(写真・記事/住田至朗)

TAGS 書籍・雑誌


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