2019年9月4日、「R・ベッカーズ池袋東口店」に導入された「O:der Kiosk」

レジに並ばずタッチパネルで注文

2019年9月4日(水)、JR池袋駅東口の「R・ベッカーズ池袋東口店」に新型のセルフ注文決済端末「O:der Kiosk」(オーダーキオスク)が導入されました。

使い方はと~っても簡単。

画面に表示されるメニューを選択し、食べたいものを選んで……

ADVERTISEMENT

お手持ちの交通系電子マネーやクレジットカードで決済するだけ。

端末から排出されたレシートに番号が表示されていますので、調理が終わるまでしばし店内でくつろぎましょう。

調理の進み具合は店舗内のデジタルサイネージでも確認可。画面右上のSTATUSが「READY」になったらカウンターで受け取りを済ませます。

海外ではスターバックスやマクドナルドなどの有名なチェーン店で良く見られる光景ですが、日本ではまだこのような形式のセルフ注文決済端末の導入が進んでおらず、今回はその物珍しさから多数の報道陣が詰めかけていました。

JR東日本グループとスタートアップが手を取り合う理由は

ジェイアール東日本フードビジネス株式会社 代表取締役社長 山際貞文(やまぎわさだふみ)氏

今回「O:der Kiosk」を導入したベッカーズは、ジェイアール東日本フードビジネスの展開する中核ブランドの一つ。”レストランクオリティのハンバーガー”をコンセプトとしており、お店で一から手作りしたバンズを用い、注文を受けてから作る「別格」シリーズなどを駅ナカ利用者向けに提供しています。

株式会社Showcase Gig 代表取締役:新田剛史(にったたけふみ)氏

ジェイアール東日本フードビジネスは、「O:der Kiosk」の開発・導入に関わったShowcase Gigと協力し、今年の1月から「ベッカーズ」都内三店舗でモバイルオーダーサービス「O:der」を展開しています。

「O:der」とは何ぞやという方向けに説明いたしますと、あらかじめスマートフォンで商品を注文しておき、調理が完了したら店頭で商品を受け取れるという「事前注文・決済サービス」です。平たく言えば顧客の待ち時間をゼロにする商品提供スタイルですね。

同社がこの「O:der」や「O:der Kiosk」の展開に積極的なのは……

・駅ナカの混雑を緩和したい
・人手不足を解消したい

という大きな理由があるから。来年の東京五輪に向けてこれからますます混雑していくであろう首都圏主要駅の駅ナカで、レジ待ちの列が出来てしまう状況は極力避けたいものですし、レジオペレーションを減らすことが出来ればより多くの人員を厨房に割けるようになります。今回の「O:der Kiosk」の導入で削減できるレジ人員は1人分と見込まれていますが、導入による副次的効果はそれだけではありません。

まず、訪日外国人対応が楽になること。先述の通り海外ではこの手のセルフ決済端末が普及していますし、埋め込まれたアプリを改修すれば柔軟な多言語対応が可能です。将来的には言語別におすすめの商品を提案できるような仕組みの導入も検討しているとのことです。

また、利用者が「スマホ決済」に進むハードルを下げる効果も期待されています。

現在ベッカーズの三店舗で導入されているモバイルオーダーの注文は、クレジットカードの登録などが壁となっており、全体の売り上げに占める割合は低いままにとどまっています。この壁を破るためには、まず「触って」体験してもらう必要がある――そういった理由から、「O:der Kiosk」のUIはスマートフォン風に設計されています。

実際に店頭でセルフ注文決済端末に触ってみた利用者が、これならスマートフォンで先に予約しておけばよい、と考えて「O:der」へと流れる。今回の「O:der Kiosk」の導入はあくまで投じられた一石に過ぎませんが、もしそのような流れが生み出されれば、スマートフォンによる事前決済への移行は今後ますます加速するかもしれません。

記事/写真:一橋正浩

9/4 19:11 曜日を修正いたしました。