雰囲気は「大人の自習室」 東京駅にシェアオフィス「STATION DESK」1号店が登場 その強みは立地性だけではない?
2019年11月21日(木)、東京駅丸の内地下南改札から徒歩数十秒の場所に駅ナカシェアオフィス「STATION DESK」1号店が開業しました。
効率的なソロワークをサポート出来るよう、店内にはワークスタイルに合わせた6種16席のプライバシーに配慮したシートが用意されており、フリードリンクや無料Wi-Fiなどのサービスも充実しています。
営業時間は全日7:30〜21:00(初日のみ14時から)。専用webサイトからシートと時間を予約する完全予約制で、「STATION WORK」の「個人会員」「法人会員」のみ利用可能。料金は250円/15分ですが、現在はキャンペーン期間中ということで150円/15分で利用できます(当面は全ての座席が同じ料金で利用可能)。
2020年度までに30拠点目標性、利用率は3割目途
「STATION DESK」はJR東日本が2019年8月1日より開始した駅ナカシェアオフィス事業「STATION WORK」の一環として開業するものです。
先だって東京駅・新宿駅・渋谷駅・立川駅に設置されたシェアオフィス「STATION BOOTH」は、8月1日の開業以来延べ約5,000名に利用されており、個人契約は15,000人、法人契約は30社に達しています。
JR東日本は2020年度までに首都圏や新幹線主要駅を中心に「STATION BOOTH」「STATION DESK」あわせて30拠点の展開を目指しており、以降も引き続き事業を拡大していく構えを見せています。
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JR東日本の担当者によれば、現状「STATION BOOTH」の利用率は3割程度。
一見あまり利用されていないように見えますが、3割程度でも体感として半分は埋まっており、これが5〜6割に達するとほぼ埋まっているように感じられるそうです。
「STATION DESK」は長時間の利用を想定されていますが、当面の稼働率としては「STATION BOOTH」同様3割ほどを見込んでいます。
立地の強みとソロワーク特化で優位に
東京駅構内にシェアオフィスサービスを開業するとなれば、やはり同種のシェアオフィスサービスこそがライバルとなるでしょう。JR東日本の担当者はSTATION WORK事業の強みについて、次のように語ります。
まずSTATION DESKには「改札から30秒~45秒程度で来れる」という強みがあり、電話ボックスタイプのSTATION BOOTHに至っては「改札内にあるので外に出なくとも使える。その立地性こそが圧倒的優位性になる」――また、「座れる場所がないから」といった事情で喫茶店に流れていた顧客の潜在ニーズを掘り起こせるかもしれない、とのお話もありました。
しかし「STATION DESK」の優位性は立地だけではありません。今回特に強調された事業としての強みは、「ソロワークに集中できる」こと。一人で集中するためには「覗かれない」「視線が切られている」といった条件を満たす必要がありますが、「STATION DESK」はこの条件を重要視しているわけですね。
また、ソロワークのために五感にアプローチするといった試みも。リラックスしながらも集中力を高める効果のあるボサノバをBGMとして採用し、さらにアロマを炊くことで嗅覚へもアプローチ。そのような形で集中できる作業環境を提供することで、立地に甘えない姿勢を強く打ち出しています。
メインの利用者層はビジネスマンですが、JR東日本側としては旅行客、学生、海外の方などの利用も見込んでいるようです。新幹線に乗る前のちょっとした待ち時間などにささっと予約して利用できるようであれば、かなり利便性の高いシェアオフィスとして使えそうですね。
記事/写真:一橋正浩