【廃止から1年 北海道・夕張支線の「いま」を訪ねて(1)】 いにしえの鉄道の痕跡が残る「新夕張駅・楓駅」
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レストランを併設する「沼ノ沢駅」

新夕張から国道と並行しながら鉄路は2.7㎞先の「沼ノ沢駅」に伸びています。駅付近の沢に沼があり、付近を「沼の沢」と呼んでいたことが駅名となったと伝えられています。明治時代の北海道炭礦汽船時代は、貯炭場より当駅まで馬車軌道が敷設されていました。

無人駅化に伴い「レストランおーやま」にリニューアル

国鉄民営化に伴い1986(昭和61)年11月1日から無人駅になりましたが、駅舎は民間に引き継がれ、旧事務室部分は改装され「レストランおーやま」として営業しています。夕張産の長芋を使ったハンバーグやピラフなど地産地消にこだわったメニューを提供。2020年度の営業については未確認なため、訪れる際は店舗にご確認ください。

蕎麦屋として再出発した「南清水沢駅」

開発が進む南清水地区

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「南清水沢駅」は、夕張支線の中で最も新しい1962(昭和37)年12月25日に開業しました。他の駅が石炭など貨物の取り扱いに重点を置いている中、市街地化により設置された同路線唯一の旅客のみ取扱い駅です。夕張市立ゆうばり小学校・夕張市立夕張中学校北海道夕張高等学校などがあるほか、ホームセンターやコンビニなどもあるなど、夕張市内の教育・商業を担っています。旧駅近郊には拠点複合施設「りすた」が建設され、周辺の鉄路が撤去されています。

2020年4月1日より「そば天国村」が開業

夕張支線廃止後、目的を失った駅舎は2020年4月1日に「そば天国村」として生まれ変わりました。北海道・北広島市に総本店があり、近隣で店舗を展開しています。南清水沢の店舗は、創業者の松野力(72)氏がガンを克服し、夕張再生計画まちづくりの一環として2年ぶりに復帰したお店です。

昭和30年代にタイムスリップ
夕張らしさが詰まる店内

店内にはシューパロダムに沈んだ旧大夕張ダムや、石炭を乗せた貨車を牽引するSLの写真、炭鉱が盛んだった時代の家具や家電など約300点が展示されています。

もりそば(500円 税込)

展示品を一つ一つ丁寧に見ていると、注文したお蕎麦が運ばれてきました。シンプルに蕎麦の味を楽しむなら「ざるそば」で決まり。店主の松野力氏は、18歳で出身地の新潟を出て、釧路市の名店・東家で蕎麦の修業を積んだといいます。長年培った技術で打たれた蕎麦は、そば粉の香りが楽しめる上品な更科です。カツオだしが効いたツユも美味しく、最後の蕎麦湯まで余すことなく味わいました。訪れる際はあらかじめ営業時間などをご確認ください。

鉄路は炭鉱で栄えた清水沢に向かう

南清水沢駅のホーム

線路は三菱大夕張炭鉱・南大夕張炭鉱から石炭を運び出す三菱石炭鉱業大夕張鉄道線との結節点として栄えた「清水沢駅」へと進みます。引き続き時代を超えた旅をお楽しみください。

文/写真:吉田匡和

※【廃止から1年 北海道・夕張支線の「いま」を訪ねて(3)】は6月6日(土)午前10時頃公開予定です。(鉄道チャンネル編集部)

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