【廃止から1年 北海道・夕張支線の「いま」を訪ねて(3)】 清水沢駅と三菱石炭鉱業大夕張鉄道
【廃止から1年 北海道・夕張支線の「いま」を訪ねて(2)】 よい香り漂う「沼ノ沢~南清水」
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広いヤード跡が石炭繁栄の歴史を語る「清水駅」

夕張支線の中間に位置する「清水沢駅」は、1897(明治30)年2月16日に、北海道炭礦鉄道の新駅として開業しました。1911(明治44)年6月1日に大夕張炭礦専用鉄道(後の三菱石炭鉱業大夕張鉄道線)が開業。1947(昭和22)年1月16日に同鉄道線の乗入れにより共同使用駅となります。

かつては石炭を運ぶ貨物列車が多く往来し、広いヤードに石炭専用貨車が並んでいましたが、炭鉱の閉山により石炭輸送が廃止されてからは広さを持て余しています。ホームは駅舎から離れており、旅客よりも貨物が優先されていた当時を偲ばせています。


現在、清水沢駅の駅舎はそのまま残されています。1964(昭和39)年には一日平均2,600人が利用していましたが、廃止前にはわずかな人が利用するだけとなっていました。廃止の数年前から備品整理が勧められていたため、営業当時と比較してもあまり変化はありません。

駅前はさびれ果て、ほとんどの店がシャッターを下ろしています。その中でも「駅前食堂」は現在も営業。炭鉱が栄えていた時代から今日まで、清水沢の街を見届けています。
三菱石炭鉱業大夕張鉄道

清水沢から「三菱石炭鉱業大夕張鉄道」が分岐していました。1911(明治44年)年6月に「大夕張炭礦専用鉄道」として開業。1947(昭和22)年1月16日に 清水沢駅乗入れを開始しました。一時は清水沢~大夕張炭山(17.2㎞)に鉄路が敷かれていましたが、炭鉱閉山により1973年12月16日に南大夕張駅より先が廃止。わずか二駅7.6㎞のミニ路線として営業していたものの、三菱鉱業の合理化により1987(昭和62)年7月22日 に全線が廃止されました。

2020年4月現在、レールや駅舎はすべて撤去されていますが、旧南大夕張駅構内に実際に使用されていた車両が展示されており、当時の面影に触れることができます。夕張市に寄贈されたものの荒廃状態にあった車両などを「三菱大夕張鉄道保存会(平成11(1999)年7月発足)」が修復・整備。現在も貴重な産業資源を守るため、さまざまな活動が行われています。

現在展示されているのは、キ1(国鉄キ100形貨車と同型)・スハニ6・オハ1・ナハフ1・セキ1・セキ2・モーターカー・軌道自転車、そしてバスが1両。自由に客車に乗ることもできます。ただし雨水などによる劣化を防ぐため、しっかりとドアを閉めることが条件です。

営業当時、南大夕張駅は線路を渡った小高い場所にありました。今は通路が埋め立てられ、駅舎があったと思われる場所は、建設関連会社の駐車場になっています。


駅前の風景もすっかり変わってしまいました。シャッター街を通り越し、倒壊した店舗や家屋が目立ちます。この地が炭鉱で栄えたことや、多くの人の生活していたことを語り継ぐ人は少なくなっていくことでしょう。
時代を駆け抜けた車両を後世に残したい

展示客車内には、保存会からのお願いが掲げられています。車両保全のための寄付を募っているほか、オリジナル鉄道グッズを購入することでも支援に協力できるそうです。懐かしい音源が詰まったCD、駅名標やサイドボードキーホルダーなどをラインアップしています。コレクションに加えてみてはいかがでしょうか。
文/写真:吉田匡和
※【廃止から1年 北海道・夕張支線の「いま」を訪ねて(4)】は2020年6月7日(日)公開予定です。(鉄道チャンネル編集部)
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