北条鉄道法華口駅に行き違い設備設置 ―その狙いは阪神エリアへのアクセス向上―

2020.09.01

2020年8月24日、北条鉄道法華口駅を取材しました。同駅はいま、全国初の保安システム「票券指令閉そく式」を採用した行き違い設備で注目されています。今回は北条鉄道株式会社佐伯副社長・高井取締役への取材をもとに、行き違い設備設置にいたるまでの経緯と今後の狙いについて紹介します。

北条鉄道とは

粟生駅(兵庫県小野市)と北条町駅(兵庫県加西市)の13.6kmを結ぶ第三セクターの鉄道会社です。加西市民にとって重要な足となっています。

粟生駅はJR加古川線と神戸電鉄粟生線の接続駅です。JR加古川線で粟生駅から加古川駅まで約15分、そこから新快速に乗ると神戸・三ノ宮・大阪までのアクセスが便利です。北条町駅から三宮まで1時間30分、大阪まで2時間あれば移動できます。

2020年9月1日から法華口駅で行き違い設備が設置され、朝夕の本数が増加します。それにともない、粟生駅でのJR加古川線と神戸電鉄粟生線との接続機会が増え、アクセスがさらに便利になります。

北条鉄道では、ボランティア駅長が有名です。ボランティア駅長の活躍により国土交通大臣から表彰されたことがあります。

法華口駅とは

法華口駅は北条鉄道の粟生駅と北条町駅のほぼ中間に位置する駅です。2020年9月1日のダイヤ改正から行き違い設備の運用が始まります。この行き違い設備については全国初の保安システム「票券指令閉そく式」が採用され、注目されています。

法華口駅を出ると、三重塔が見えます。法華口駅周辺には有名な観光名所があり、その中でも旧日本海軍がパイロットを養成するために建設された鶉野飛行場跡があります。毎月第一・第三日曜日には法華口駅から鶉野飛行場跡までの無料のシャトルバスが運行され、戦闘機「紫電改」の実物大レプリカと防空壕跡も公開されています。

法華山一乗寺の三重塔を高さ7mの模型としたもの
「紫電改」展示の広告やシャトルバスの運行時刻表も掲示されている

法華口駅のトイレと駐輪場については個人や企業・団体からの援助によって設置されています。法華口駅以外の駅についても援助によって改修工事がおこなわれています。

全国初の行き違い設備とは

粟生駅から北条町駅に向かう下り列車はホーム右側に入る

法華口駅では全国初の保安システム「票券指令閉そく式」が採用されました。運転士が通票・通券をICカードリーダーにタッチすることで信号を開通させることができます。

粟生駅から北条町駅に向かう列車はホーム右側に入ります。ホームで乗客の乗降を確認したのち、ICカードをタッチします。ICカードをタッチすると、信号が赤から青に変わり、発車します。列車は原則左側通行ですが、法華口駅の場合は粟生駅への速達性を重視するため右側通行にしているとのことです。

乗客の乗降を確認したのち、ICカードリーダー(写真中央)にタッチ
信号が青に変わり、出発できるように

なぜICカードを用いた票券指令閉そく式に注目したのでしょうか。佐伯副社長によれば、決め手はコスト面のようです。票券閉そく式とタブレット閉そく式の場合、設置するときにかかるコストは抑えられますが、24時間365日駅係員を常駐させなければならないため人件費がかかるという弱点があります。自動閉そく式も検討しましたが、無人化できる反面、設置のためのコストが相当かかります。

ICカードを用いた票券指令閉そく式は、輸送指令が遠隔操作をすることで、無人駅で票券閉そく式を可能にしたものです。

増便によるアクセス向上の狙いとは

北条鉄道Webサイトから

北条鉄道の朝夕の本数を増やすことで、JR加古川線粟生駅での接続の機会を増やします。北条鉄道沿線から通学する利用者からは「早く学校に行って勉強したい」「ゆっくり学校に行きたい」といった声が上がっていたようです。1時間に1本の本数を30分に1本にすることで、通勤・通学客のニーズに応えられると期待されています。

票券指令閉そく式導入までの経緯

票券指令閉そく式の構想が練られたのは2015年のことでした。国土交通省に無人駅で票券ICカードを用いた票券指令閉そく式の申請をしましたが、前例がないことや有人で票券閉そく式を導入した信楽高原鉄道が列車正面衝突事故を起こしたこともあり、当時はなかなか取り合ってもらえなかったといいます。国土交通省から票券指令閉そく式について有識者から意見をとりまとめるよう指示が出されたこともありました。

進展のきっかけは前述の「ボランティア駅長」でした。申請から時が経ったとき、同活動が認められ表彰に至りました。佐伯副社長は講演を頼まれ、その際に票券指令閉そく式について言及したことで国土交通省が動きだしました。

今後の法華口駅に注目

法華口駅に行き違い設備が設置されることで北条鉄道の本数が増えれば、加西市民にとって阪神エリアへのアクセス機会増にもつながります。今回の取材を通して、北条鉄道の沿線に鶉野飛行場などの観光名所があることも分かりました。今後、観光客が増えることが期待されています。

最後に、法華口駅の旧駅舎の反対側には桜の木が植えられています。春になると多くの鉄道ファンが駅舎・鉄道・桜の写真を撮るために訪れます。秋になると紅葉がきれいで、鉄道写真のおすすめのスポットとなっています。

鉄道写真家中井精也さんの番組「てつたび」で北条鉄道が放送されたことがあります。2019年には人気アニメ「サザエさん」のオープニングで法華口駅が登場しました。同駅を訪れる際は、北条鉄道のその他の駅や沿線の写真撮影スポットなども訪れてみてはいかがでしょうか。

文/写真:樋口也寸志


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