JR北海道単独維持困難路線を訪ねて 晩秋の富良野~新得の旅「3」

2020.12.23

【前回】JR北海道単独維持困難路線を訪ねて 晩秋の富良野~新得の旅「2」
https://tetsudo-ch.com/10992144.html

JR北海道は2016年8月に発生した台風10号で甚大な被害を生じた根室本線の一部区間の復旧を諦め、2017年3月28日より東鹿越~新得で代行バスの運行を開始しました。廃止が検討されている富良野~新得を全3回に分けて紹介する旅、第3回目は代行バス運行区間である東鹿越~新得を紹介します。

高倉健主演映画で一躍有名に 幾寅駅

幌舞駅の駅名標が大きく掲げられている

幾寅駅は1902年12月6日に北海道官設鉄道十勝線の駅として開業しました。南富良野町の中心地に位置し、かつては急行が停車する駅でしたが、1984年12月1日に無人化されています。人々の記憶から消え入りそうな駅は、1999年6月5日に公開された映画「鉄道員(ぽっぽや)」のロケ地として脚光を浴びるようになりました。

駅舎内は鉄道員資料館として利用

映画は廃線を間近にした、北海道の元運炭路線の駅長に訪れる幸福を描いています。駅の名は「幌舞(ほろまい)駅」。路線の廃止と共に定年退職を迎える駅長を高倉健さんが演じた人間ドラマです。ロケ終了後も駅舎には「幌舞駅」が掲げられており、幾寅駅の文字は隅に追いやられています。駅舎内にはロケのスチール写真や、実際に着用した衣装、出演者のサインが飾られています。

駅周辺には今も観光客が訪れている

駅周辺には食堂のセットや「キハ12 23」として登場したキハ40 の前頭部が開放されています。映画の公開から年月が過ぎた今でも多くの人が訪れていました。 同駅が廃止された後も、南富良野町の観光資源として保存されていくことでしょう。

すでに廃止の匂いが漂う 落合駅

鉄道と共に町は発展した

落合駅は1901年9月3日に北海道官設鉄道十勝線の駅として開業しました。大正時代には機関庫が置かれる主要駅で、街も鉄道と共に発展しました。しかし時代の流れと共に駅の役割が薄れ、1982年11月15日に貨物・荷物扱いを廃止、1986年4月1日に無人化されました。駅前の商店はことごとくシャッターが閉まり、建物は崩れかけています。

すでに廃駅の雰囲気を漂わせている

根室本線不通区間の中で、最も復旧が困難なことを感じるのが落合駅です。観光客が訪れる幾寅駅と異なり、改札口や跨線橋は封印。久しく列車が走らない鉄路は雑草で覆われ、在来線の駅とは思えないほど荒れていました。

蕎麦と地鶏が名産の街 新得駅

道の街・新得を象徴する「火夫の像」

新得駅は1907年9月8日に帝国鉄道庁の駅として開業しました。駅前広場の「火夫の像」は新得町商工会の創立20周年を記念して 1981年に設置されました。新得中学校の校長を務めた横田裕美氏の作品で、鉄道の街・新得を象徴して蒸気機関車の機関士を讃えています。

「狩勝線」は2009年に近代化産業遺産に認定

1966年10月1日に新線に切り替えられるまで、落合~新得は狩勝峠を越える難所であると同時に「日本三大車窓」にも数えられる際立つ美しさを誇っていました。「狩勝線」と呼ばれた同線の沿線には現在もアーチ橋が残されており、狩勝峠から大カーブが望めます。

新得の駅弁は日本一入手困難?!

新得地鶏めしは水曜日に5食のみ販売

新得駅内の売店「ステラステーション」では日・月・木・金・土に「平成園 十勝の焼き肉弁当」、水曜日は「石松 新得地鶏めし」を販売しています。いずれも1日3~5個しか販売せず売り切れ必至。あらかじめ予約した方がよいでしょう。

地鶏たっぷりで700円はお買い得

幸運にも地鶏めしを購入できました。町内の寿司屋「石松」が作っており、歯ごたえよい新得地鶏を使った炊き込みご飯です。ごぼう、ニンジン、ささだけ、シイタケなど具材もたっぷり。醤油とみりん、酒、砂糖で味付けられています。成人男性でもおなか一杯。味・量ともに大満足なお弁当でした。

富良野~新得は消えゆく運命なのか?

復旧されないまま放置された鉄路

廃止対象となる沿線自治体では「根室本線の災害復旧と存続を求める会 」が発足し、なしくずしの廃止に反対する声が上がっていますが、その一方で「列車が直通しないことで不便になった」という声も聞こえず、「廃止もやむを得ない」と感じました。新型コロナウイルスの影響を受けてJR北海道の経営は窮地に立たされており、同路線の廃止が早まることが予測されます。消えてしまう前に訪れ、その光景を目に焼き付けてください。

文/写真:吉田匡和


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