車内換気の効果紹介 画像:JR東日本

JR東日本は年末年始の多客期を前にした2020年12月8日、駅や列車内での新型コロナウィルス感染症対策をまとめ、「年末年始も安心してご利用いただくために~JR東日本の取り組み」として発表した。感染者急増を受けて旅行や帰省をためらう動きが社会に広がることから、同社としての拡大防止策を発信し移動の判断材料にしてもらう狙い。

深澤祐二社長が、同日の会見で発表した。「鉄道の旅を安心してご利用いただくために」「駅や車内を安心してご利用いただくために」「混雑状況の情報発信」の3項目に分け、駅や列車内での三密を回避しつつ、消毒や清掃を徹底するのが基本的考え方だ。

三密回避に有効なのが十分な輸送力の確保で、帰省ピークの2020年12月29日の下り方面、Uターンが集中する年明け2021年1月3日の上り方面に臨時列車を運転して必要な輸送力を確保する。

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混雑緩和策では、休日から平日へのシフト策として「踊り子号で行くイズトク!」「平日SKIプラン」などの利用を促す。東北新幹線は一部期間、乳幼児連れ旅行客用の貸切車両を用意する。さらに利用者1人に付き座席2席提供することで、ソーシャルディスタンスを確保する。

いわゆる非接触による感染回避では、えきねっと会員に限定して通常の半額に割り引く「お先にトクだ値スペシャル」を設定。車内の安心では、おおむね2~8分程度で空気を入れ替えることを報告。在来線では鉄道総研の研究成果も踏まえながら、①屋根上の空調装置で外気を取り込む ②窓を5~10cm空けて走行することで車内の空気を入れ替える ③駅ごとにドアを開閉して車内の空気を換気する――の3つの手段で、感染を防止する換気を行えることを披露した。

駅や車内では、駅の券売機などの機器類、車内の吊り手、握り棒、座席などを消毒・清掃。山手線ターミナル駅をはじめとする主要駅には消毒液を用意する。

駅の混雑を避ける新機軸が「JR東日本アプリ」を活用した駅混雑状況の配信拡大で、情報提供駅を従来の3駅から48駅に拡大する。山手線東京、秋葉原、京浜東北線さいたま新都心、浦和、中央快速線中野、吉祥寺、中央・総武緩行線水道橋、両国の各駅などで2020年12月18日から車両ごとの混雑状況が分かるようにする(有楽町駅は2021年4月から)。

アプリによる車内混雑状況の提供イメージ 画像:JR東日本

文:上里夏生