日本信号とJR九州が挑む ATS-DK ベース自動列車運転、3つの国内初と信号保安システムの実情

2020.12.31

日本信号が ATS-DK をベースとした自動列車運転装置(高機能 ATO(FS-ATO))を開発し、JR九州 香椎線 西戸崎~香椎 12.9営業キロで12月24日から始めた自動運転実証実験。JR九州 819系(DENCHA)2両編成1本によるその内容がみえてきた。

まず ATS-DK は、JR九州の信号保安システム。連続的な速度照査により列車制御を行う。FS-ATOは、保安装置と同等の信頼性とフェールセーフ性を有する高機能な自動列車運転装置。

今回の実証実験内容は、自動列車運転装置による車両制御の安定性、運転取扱いの変更点における検証、そして運転士の心理的影響の把握。同実験には、「3つの国内初の試み」がある。

ATS(Auto matic Train Stop)区間で国内初の自動運転

これまで国内の鉄道の自動運転は、自動列車制御装置 ATC(Auto matic Train Control)を整備した路線でのみ実用化されてきた。

ATCは、信号の現示に対応した信号電流をレールに流し、列車の車上装置が連続的にこれを受けることで、走行速度は信号が示す制限速度以下であるかどうかをチェックし、速度が超過した場合は自動的にブレーキを作動させて制限速度以下に抑える装置。

いっぽう、JR在来線のほぼ全て(98%)、私鉄とあわせても9割(91%)の区間が自動列車停止装置 ATS(Auto matic Train Stop)。ATC化には莫大な設備投資が要ることから、JR九州は今回、国内初の試みとして、運転士が乗務しながらATS区間で自動運転を実証実験する。

ATS は、停止(赤)を現示する信号機からある程度手前の位置に列車がさしかかったとき、運転台のベルが警報を発し、運転士が所定の確認扱いをしないと自動的にブレーキがかかって停止させるシステム。

また、停止や進行(青)のほか、警戒(黄・黄)、注意(黄)、減速(黄・青)という制限速度を指定したシステム(5灯式)を採用している場合に、列車がそれぞれの制限速度を超えてきたときにはブレーキをかけて制限速度以下にする機能もある。

踏切がある区間で国内初の自動運転

ホームドアがない区間、地上区間での自動運転は前例がある。今回のように、踏切がある区間での自動運転は、国内で初めの試み。

今回の自動運転実証運転では、運転士が前頭に乗務し、前方の異常や危険を発見すれば緊急停止操作を行う。将来的には係員つきドライバーレス運転の形態 GoA(Grade of Automation)2.5 をめざす。

JR区間で国内初の自動運転

これまでもJR保有車両が乗入れ先の線区に自動列車運転装置 ATO(Auto matic Train Operation)が整備されていることから、ATOを搭載した例はある。

たとえば筑肥線で運行中の303系・305系は、福岡市営地下鉄に乗り入れることから、ATO を搭載する。ちなみに、JR筑肥線は ATS 整備区間で、JR九州の在来線に ATC 区間はない。

そこで今回の実証実験では、JR線に初めてATOを整備して実証実験に挑む。

――― JR九州は今後、運転士が乗務した状態で ATS-DK ベースの自動列車運転装置による営業運転を、2021年度末までに区間拡大(香椎~宇美間)、対象列車拡大をめざす。


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