山手線内回りは大崎止まりを池袋で運転打ち切り

次に、どのくらい繰り上げたのか確認しましょう。「電車を1本飛ばして、最終の1本前を終電とする」なら話は簡単なのですが、ダイヤは複雑で、そうはいきません。山手線の内回り、外回りと東海道方面をJRの資料から抜き出しました。

山手線の終電繰り上げは円形の路線図で分かりやすく表現します。(画像:JR東日本)

改正前の資料なので、「現行」とあるのは2021年1月の終電繰り上げ前ダイヤ。山手線外回りはおそらく最終の運転を取り止めて、1本前を終電にしたのでしょう。繰り上げ時間は各主要駅16~19分とほぼそろっていますが、これは例外です。

同じ山手線でも内回りは、品川、東京、上野の3駅は繰り上げなし。池袋以遠の新宿、渋谷は19分の繰り上げになっています。山手線は池袋と大崎に車両基地があり、最終の大崎行きを池袋で打ち切るようです。

最後まで列車が走る京浜東北線を繰り上げる東海道方面

JR東日本東海道方面の京浜東北・根岸線、東海道線、横須賀線の終電繰り上げ。(画像:JR東日本)

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東海道方面は、東海道線東京―平塚間と横須賀線東京―大船間は繰り上げなしで、東京駅を23時54分に乗車すれば東海道線平塚まで、同じく23時50分に乗車すれば横須賀線大船まで、これまで通り到着できます。

終電を繰り上げるのが京浜東北・根岸線で、蒲田まで16分、桜木町まで33分、終電の発車時刻が早まります。東海道方面は快速線の性格を持つ東海道線と横須賀線、緩行の京浜東北線の3線が並行していて、一番遅くまで列車が走るのは京浜東北線です。京浜東北線の終電を早めるのが、メンテナンス時間確保に最も効果的です。

鉄道事業者にとって最大の商品ともいえるダイヤは、利用状況のほか車両や乗務員の運用を考慮して決まります。山手線や東海道方面の新ダイヤについて、いろいろな見方ができるでしょうが、私には「利用客への影響を最小限にとどめながら、メンテナンス時間を最大限確保した」の創意工夫が見て取れました。

東北新幹線の最終では小田原には乗り継げない

JR東日本は「新幹線からの乗り継ぎ」も、新幹線最終から在来線に乗り継いで到達できなくなる区間を明示しています。東北新幹線と上越新幹線の最終を東京駅で乗り継ぎ東海道方面に向かうと、東海道線大磯―小田原間と横須賀線北鎌倉―逗子間には到達できません。

逆にいえば東海道線平塚まで、横須賀線(実際は東海道線)大船まで到達できるわけで、その先の区間に自宅がある人は、1本前の新幹線に乗車するなどの工夫が必要になります。