東京メトロは最大16分繰り上げ

東京メトロの大手町、銀座、永田町・赤坂見附の各駅終電繰り上げ一覧。(画像:東京メトロ)

私鉄各社のうち、東京メトロは「都心部における輸送ネットワークを考慮した繰り上げ時間の設定」を基本に、各線10分程度の終電繰り上げを実施します。ここでは3戦区以上が接続する大手町、銀座、永田町・赤坂見附(駅名は異なりますが、扱い上は同一駅)の3駅について、繰り上げ時間を見ます。

繰り上げが大きいのは、東西線大手町発の中野方面の12分です。ほかの線区や駅について詳述するスペースはありませんが、資料を見る限り、全線で繰り上げ時間が最大なのは千代田線北千住―綾瀬間の16分。ほかに、14分繰り上げが丸ノ内線(池袋方面)荻窪―中野坂上間と、副都心線(渋谷方面)新宿三丁目―渋谷間、13分繰り上げが同線(和光市方面)新宿三丁目―池袋間で、多くの線区は、繰り上げ10分以内に設定されています。

東武は東上線「TJライナー」増発

東急電鉄、小田急電鉄、東武鉄道、京成電鉄、京浜急行電鉄、京王電鉄、西武鉄道の私鉄7社は、ポイントを紹介します。路線図は分かりやすい東急を転載しました。

視覚的に分かりやすい東急の終電繰り上げ一覧。(画像:東急電鉄)

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東急は図の通り各線で終電を繰り上げますが、時間は東横線渋谷発26分、田園都市線渋谷発17分、多摩川線と池上線の各蒲田発8分と最大18分もの差があります。理由は渋谷と横浜という両都市間を結ぶ東横線は東急線の中で最も遅くまで電車が走るから。東急は始発の繰り下げは実施しません。

小田急は小田原線と多摩線の全線と江ノ島線相模大野―大和間が繰り上げ区間で、上下線ともに最大20分間、終電を早めます。東武は東武スカイツリーラインの浅草―東武動物公園間と大師線西新井―大師間、東上線池袋―寄居間、坂戸―越生間が対象で、最大15分繰り上げ。京成は、本線高砂―京成成田間の下り京成成田方面を20分繰り上げ。京急は、大師線を除く全線で最大30分繰り上げ。京王は、京王線(競馬場線と動物園線を除く)と井の頭線で最大30分繰り上げ。西武は、山口線と多摩川線を除く全線で最大30分繰り上げます。なお、京成と京急のダイヤ改正は2021年3月27日からです。

最後は駆け足になりましたが、京成が2019年9月と2020年9月の利用状況の変化を図示しているのでご覧下さい。

京成電鉄は2019年と2020年の利用状況の変化を図示して終電繰り上げに理解を促しました。(画像:京成電鉄)

ここまではすべて終電繰り上げの話でしたが、新ダイヤでは東武東上線「TJライナー」増発など通勤客の利便性向上につながる話題もあります。最後に余談。本稿の執筆で時刻表や各社ホームページをチェックするうち、列車ダイヤをトリックに使った松本清張の名作「点と線」を読んでいる気になりました。文才のある方、終電繰り上げで推理小説を書いてはいかがでしょうか。

JR東日本は伊豆特急「踊り子」をE257系リニューアル車両に統一します。鉄道ファンが気になるのは終電よりこちらでしょうか。(写真:tetsuo1338 / PIXTA)
鉄道の安全確保に欠かせないメンテナンス作業。一部事業者は昼間にシフトするなど働き方改革に取り組みます=イメージ=(筆者撮影)

文:上里夏生