専門医が語る「脳腫瘍への放射線治療」最新トレンド、短時間で効率的に_バリアンメディカルシステムズ講演会

2021.04.02

放射線治療装置とその関連システムを取り扱う バリアン メディカル システムズは、『脳腫瘍に関する放射線治療の実態と現状・最新治療法』をテーマにした説明会を開催。

脳腫瘍における放射線治療の最前線で活躍する、北海道大学 放射線治療学教室 青山英史 教授、大阪国際がんセンター放射線腫瘍科 手島昭樹 主任部長が登壇し、最新の実績結果やトレンドを紹介した。

「転移性脳腫瘍の放射線治療」青山英史 北海道大学 放射線治療学教室 教授

転移性脳腫瘍の放射線治療法は、脳全体を広く照射する「全脳照射」と、転移病巣を1個ずつ照射する「定位放射線照射(定位照射)があります。定位照射は「1ミリメートル以下の高精度で多方面から放射線を病変に集中してあてられる」「病巣周囲の正常脳への照射量を減らせる」といった長所があります。

この定位放射線照射(SRS)単独治療の臨床試験を契機に、1個から数個の転移性脳腫瘍治療の、世界標準治療のひとつになりました。これは日本発のエビデンスといえます。

定位放射線照射単独治療の長所は、正常脳の放射線障害の危険性が低いこと。また短所は、定位照射単独では脳内の腫瘍再発率(遠隔と局所)が2~3倍高い(全脳照射併用時と比較して)こと。

また、従来の定位照射では技術的な弱点が大きく2つあります。ひとつは、病変の形状が複雑な場合、放射線の分布を腫瘍形状にうまく合わせることが難しいこと。もうひとつは、転移病巣を1個ずつ照射すると時間がかかり過ぎること。1か所の治療時間が30~45分として、4か所では2~3時間もかかります。これでは患者への負担も重くのしかかります。

現在、定位放射線照射(SRS)新システムでは、こうした弱点を克服し、位置精度の担保、骨合わせによる画像誘導法(CBCT)、寝台の全自動制御、線量分布の向上などで、治療時間は大幅に短縮。寝台の全自動制御で転移病巣10個程度なら30分程度で治療できるようになりました[TO1] 。北海道大学でもちょうど本日、一例目を行いました。[k2]

いっぽうで課題もあります。定位放射線照射(SRS)新システム(SI-VMAT)の施行に必要な医療体制(放射線治療医の固定医2名、医学物理士1名)の課題が浮き彫りになります。

日本では放射線治療医の育成が進んでおらず、大都市圏以外では、装置があっても同治療は施行できないという事例もあります。放射線治療医不足の解消がすなわち、国内のがん診療水準の向上につながり、日本のがん治療成績の向上に直結すると考えます。

日本の放射線治療の発展と普及のために、日本の癌治療水準の向上と地域間格差の解消を目指していくことが重要です。

「汎用型リニアックにおける新しいSRT・SRSシステム」手島昭樹 大阪国際がんセンター放射線腫瘍科主任部長

大阪国際がんセンターでは日本に先駆けてこの新しいSRS/SRTシステムを導入しました。導入して約1年半が経過しましたが、その間の治療数はその前の同じ期間と比べ、約2倍となる300例を超えています。

新しいSRS・SRTシステムの利点は「線量低減のための効率的なコリメータ角度の決定」「ほぼ全自動による最適化計算」「オペレータの入室を必要としないノンコプラナー照射」などがあげられます。こうした利点で、スループット(処理能力)を向上させながら、品質の高い脳定位放射線治療を提供できるようになりました。

大阪国際がんセンターでは、これら新SRS・SRTシステムを導入し、転移性脳腫瘍に対する新しい放射線治療手法を開始しました。新SRS・SRTシステムの特徴はおもに4つあります。

Point 1. 最新鋭の放射線治療機器―――
最新装置によって、1ミリメートル以内の位置精度で既存治療を提供可能に。また、現存する中で最も細やかなマルチリーフコリメータを有し、小さな腫瘍に対してもピンポイントで照射できる。

Point 2. 病巣部をピンポイントで狙い撃ち―――
腫瘍に対して350以上もの方向から最適な放射線強度を自動で導き出すことが可能。従来の治療法よりも腫瘍に限局した照射が可能となり、正常脳への線量を低減できる。

Point 3. 身体に負担が少なく外来通院可能―――
治療の際はオーダーメイドマスクを装着するだけ。シミュレーションCTを撮影後の日常生活に制限はなく、体に負担が少ない治療、外来通院も可能。

Point 4.自動化で治療時間はわずか約20分―――
身体の位置を補正するためのCT撮影や、様々な角度からのピンポイント照射を自動で行うことが可能。約20分という短い時間で治療を完遂する。

こうした特徴から、新SRS・SRTシステムは、患者の負担も少なく、高い治療成績が期待できるシステムといえます。

「バリアンメディカルシステムズの放射線治療」福島権一 バリアンメディカルシステムズ専務執行役員

Varian(バリアン)は1948年、スタンフォード大学敷地内で起業し、2000年代に放射線治療のグローバルリーダーへと成長。現在は、39の製品群をラインナップし、世界8000台以上のリニアック(高次医療機器)を提供し、年間400万人以上の患者様に貢献してきました。日本国内における放射線治療機の納入状況は、バリアンがシェア52%、596台の納入実績を保持しています。

具体的には、1990年代からIMRT(強度変調放射線治療)、IGRT(画像誘導放射線治療)、SRS(定位放射線照射治療)/SBRT(体幹部定位放射線治療)、そしてAdaptive Radiotherapy(適応放射線治療)に対応する技術をいち早く導入してまいりました。今後も、「Intelligent Cancer Care」をテーマに、新たながん治療のスタンダードを提供し続け、よりパーソナライズされた高精度な患者中心のケアへと推進していきます。

―――放射線治療装置とその関連システムを取り扱う バリアン メディカル システムズは、多くの放射線治療の方法に対応できる同社の汎用型リニアック(放射線治療装置)で、おもに転移性脳腫瘍患者の定位放射線治療(SRT)と定位手術的照射(SRS)を、非侵襲かつ短時間で効率的に行うことができる新しい技術を世界へ提供している。

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