迫力満点、JR四国の「鬼のラッピング車」

JR四国は、市町村名に全国で唯一「鬼」の文字が入る愛媛県鬼北町とタイアップして、鬼をイメージした特別塗装車(ラッピング車)を運行する。運行開始日は2021年7月4日で、約2年間にわたり予讃、予土の両線を走らせる。

愛媛県南予地方に位置する鬼北町は、人口9500人で、同町と宇和島市にまたがる鬼ヶ城山が町名の由来。町は2013年度から、「鬼の街づくり」に取り組む。

「町名にあやかった鬼列車」の発想は、JR四国が沿線自治体や有識者とともに地域密着策を考える、「四国における鉄道ネットワークのあり方に関する懇談会Ⅱ」の県別会議「愛媛県鉄道ネットワークあり方検討会」で生まれた。愛媛版の利用促進策には、「内外装に鬼デザインを施した観光列車を運行し、鉄道自体の観光資源化を図る」と明記され、JR四国と鬼北町の連携策として実現に至った。

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ラッピング車は単行(1両)運転が可能なキハ32形気動車1両で、鬼北町内にモニュメントが置かれる「鬼王丸」をモチーフにデザインした。車体の前面と側面に、鬼の大きな牙や眼光鋭い血走った目を迫力満点に描く。

特別塗装は、最近のラッピングバスでおなじみになった、一部の窓にもフィルムを貼るタイプ。側面には、「鬼北町 鬼の棲むまち」の文字を入れる。

さらに乗客向けサービスとして、車内でAR(拡張現実)の技術を応用。専用スマートフォンアプリで、鬼王丸による観光案内が見られ、鬼王丸と一緒の写真撮影もできる。

運行区間は予讃線(松山―宇和島間)、予土線(宇和島―窪川間)。JR四国のラッピング車両では、ウルトラマンを描いた「海洋堂ホビートレイン『ウルトラトレイン号』」も2021年7月22日から予土線に運行される。

文:上里夏生
(画像:JR四国)