いよいよ夏の青春18きっぷシーズン。中国地方の木次線を行く人気トロッコ列車「奥出雲おろち号」が、2023年度で運行を終了するということで、「いまのうちに乗っておきたい列車」として再び注目を集めている。

◆「奥出雲おろち号」2023年度の運行を最後に引退 今夏の運転計画は?
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そこで、あと3年で消える名列車のプロフィールと、木次線沿線の最近の動きを紹介。

DE10・15+12系客車

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木次線の観光列車「奥出雲おろち号」は、4月から11月下旬までの金・土・日・祝日に、木次~備後落合を1日1往復する全車指定席の普通列車(ゴールデンウイーク・夏休み・紅葉期間中は平日も毎日運転)。

外観は青と白と星で彩られ、名称は木次線沿線がヤマタノオロチ伝説の舞台であることに由来する。

12系客車のうち1両はトロッコ風のつくり。木製の椅子・机のレトロな雰囲気で、ガラスや壁のない、大きく解放された窓からさわやかな風が通り抜ける。

春は新緑を楽しめるほか、コースの終盤の「奥出雲おろちループ」付近では、列車が徐行し、ダイナミックな造形美をゆっくりみることができる。

また、全長2,241m、木次線最長トンネルの下久野トンネル通過時にヤマタノオロチイルミネーションが点灯。トンネル内は走行音による轟音に包まれ、まるで神話に登場するヤマタノオロチの鳴き声のようにも感じてくる。

亀嵩駅の手打ちそば弁当も体感したい

さらに、「奥出雲おろち号」の乗客の最大の楽しみのひとつ、亀嵩駅の手打ちそば弁当。

亀嵩駅到着や駅蕎麦販売のアナウンスが流れるとともに、多くの客が座席から立ち上がり、手打ちそば弁当を手に入れるべく動く。

その理由は、500円という価格もさることながら、動く絶景を愛でながら味わうご当地グルメは、ここでしか体感できなから。

予約もできるから、確実に購入したい場合は、亀嵩駅舎内「扇屋そば」へ電話を。

木次線沿線で始まった、存続へむけた応援活動

列車本数も減り、存続の道を探りはじめている木次線の沿線では、ピンチをチャンスに変えようと、さまざまな取り組みが始まっている。

たとえば「木次線応援弁当」。地元の仕出し店と連携し、統一されたオリジナル掛け紙を掛けた弁当を提供する取り組みで、いろいろな地元食材が使われている。

また、木次駅、加茂中駅、亀嵩駅のキーホルダー、路線図がプリントされたポロシャツや手ぬぐいなど、オリジナルグッズも続々登場。

さらに、沿線住民が駅周辺の清掃活動を行ったり、農作業中の人や線路沿いの住人が電車にむかって手を振るなど、「乗車すること以外でもできる応援」を地域全体で行っている。

木次線沿線に点在する温泉にも注目

木次線の沿線には、温泉も数多くある。

出雲大東駅が最寄りの海潮温泉は、約1,300年前の奈良時代に発見されたと伝えられる秘湯。人気の海潮荘では出雲大東駅までの送迎も行なわれている。

また、ドラマ「砂の器」(原作:松本清張)のロケ地にほど近い亀嵩温泉、佐白温泉、日本三大美肌の湯とされている斐乃上温泉の3つ温泉地は、合わせて奥出雲美肌温泉郷と呼ばれている。木次線をゆっくり行くならば、こうした温泉めぐりも楽しんでみて。

雲南市、木次線を眺められるカフェ「倉田カフェ」もチェック!

最後は雲南市、木次線を眺められるカフェ「倉田カフェ」へ。

倉田カフェは木次線 日登駅から徒歩5分。店内の大きな窓から田園風景を走る木次線を眺められるカフェとして、観光客や子供たちに人気。

地元食材を使った料理とともに、木次線を眺めながらゆっくりとカフェタイムを楽しめる。

営業時間は11:00~19:00、金土のみ~21:00(火曜日、第二・第四月曜日定休)だから、木次線の夕暮れを倉田カフェで体感し、日登18:42発の宍道行き列車で松江方面に戻るのもいい。

(画像:らいあん T2 / PIXTA)