地下鉄、登山電車、路面電車に三変化 京阪大津線を楽しむ 「人と環境にやさしい交通をめざす全国大会in滋賀」から【コラム】
大津市南部を〝背骨〟のように走る
まちづくり推進会の畑中会長の発表から、大津線を解き明かします。大津市内には鉄軌道駅が何と44駅もあるそう。内訳はJR東海道線4駅、JR湖西線12駅、京阪大津線24駅……では足りません。もう1線、比叡山鉄道の4駅を加えると数が合います。比叡山鉄道は京阪グループで、比叡山坂本ケーブルを運行します。
京阪大津線は、「大津市南部を背骨のように走る」と、いかにも地元の方らしい形容で、鉄道(軌道ですが)の性格を表現していました。京津線の特性を表すのが、「途中、61‰(パーミル)の急こう配もあります」の説明。61‰とは1000メートル進んで61メートル登る勾配のこと。ちなみに山岳鉄道で知られる、神奈川県の箱根登山鉄道の最急こう配は80‰。この京阪京津線、実は隠れた山岳鉄道なのです。
京阪大津線とJR東海道線が役割分担
京阪大津線の歴史については、畑中会長の発表資料に分かりやすい年表があったので転載します。一つ気になったのは1997年の京都市営地下鉄東西線の開業。京津線の地下鉄乗り入れ開始で、京都市中心部まで乗り換えなしで行けるようになったのは良かったのですが、御陵で事業者が京阪から京市交通局に変わるため、初乗り運賃が二重に掛かるようになって、運賃が割高になってしまった。
大津から京都方面に向かう鉄道で、JR東海道線と京阪京津線は京都市内に入ると路線が離れます。JR京都駅に至るJRは、東海道新幹線や近鉄京都線への乗り換えに便利。京阪は、京都市の繁華街に出るには使いやすい鉄道です。沿線の皆さんは、TPOに応じてJRと京阪を使い分けているのでしょう。
地下鉄東西線乗り入れの1997年以降の歩みは、これも畑中会長の資料がありましたので、こちらも転載します。2003年の大増発に続き、2005年には石山駅、翌2006年には皇子山駅を、それぞれ移設してJR駅と一体化。乗り換えを便利にして、利用促進を図ります。