港南口vs高輪口 高輪口が巻き返す

話を品川駅に戻して、駅の東西を比較すれば、昔は裏口だった東側の港南口がにぎわいを増しています。しかし、東高西低だった品川駅で今、西側の高輪口の巻き返し(?)が始まっています。

高輪口は駅前を国道15号線が走っていて、駅前広場のスペースをほとんど取れません。国道を管理するのは国土交通省。国交省道路局は国道上に人工地盤を形成してにぎわい広場やバス・タクシーの交通ターミナル、防災ステーションなどを整備する「次世代交通ターミナル構想」を2018年に発表しています。

品川駅高輪口の国道15号線上に造られる次世代交通ターミナル=イメージ=。植栽などで自然あふれる公共空間を形成します(画像:国土交通省)

開発コンセプトは、「世界の人々が集い交わる未来型の駅前広場」。広場には一般高速バスやツアー高速バスのほか、実用化に向けて研究開発が進む自動運転の次世代モビリティのターミナルも設けます。鉄道とバスやタクシーの交通結節機能では2016年4月、国(関東地方整備局整)が事業主体になって新宿駅新南口直結で開業した交通ターミナル「バスタ新宿」がお手本です。防災機能では、自然災害時の救援物資の配送機能を広場内に置き、仕分け・配送拠点とするそうです。

品川駅はJRも京急も線路は地上 駅舎は高架上に

京急品川駅。駅上は駅ビルの「ウィング高輪」。上層部を京急線が走ります(筆者撮影)

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品川駅をご利用の方、思い出してみてください。「品川降りたことないよ」という方は、写真でご想像下さい。鉄道は高輪口側から高架の京急に続き、地上を走るJR在来線4線、さらに東海道新幹線が走ります。JR在来線は高輪口側から山手線、京浜東北線、東海道線、横須賀線が並びます。2015年の上野東京ライン開通で、常磐線特急や快速の多くは品川駅が始発になりました。

高輪口には〝ネコのひたい〟ほどの駅前広場がありますが、とにかく狭い。現状、乗り入れられるのはタクシーだけで、路線バスは数カ所に分かれて国道15号線を発着します。

橋上にあるJRの改札口を出て高輪口に抜ける場合、そのままだと同一平面の京急ホームが邪魔して出られません。そこで駅改良では、高架上の京急ホームを地上に下ろし、地上の駅舎を2階に上げて、京急とJRを同一平面にそろえます。完成後はJRも京急も、2階改札口からアップダウンなしで、国交省が整備する次世代交通ターミナルに抜けられるようになります。

京急は、品川の次駅の北品川への線路構造も大きく変えます。現在は品川を発車した京急線は、JR線をトラス橋でまたぎ、大きな踏切を超えて北品川に入りますが、東京都が進める泉岳寺―新馬場間の連続立体交差事業で、北品川駅は高架に上がります。

品川―北品川間の品川第一踏切は、京急が路面電車だったころの名残をとどめるフォトスポット。ファンには寂しく感じる方がいらっしゃるかもしれません。