西九州新幹線「かもめ」車両公開 九州らしい鮮やかな紅白の車体 2022年秋登場

2021.12.23

報道公開された西九州新幹線「かもめ」

2021年12月21日(水)、西九州新幹線「かもめ」車両報道公開が行われました。

今回お披露目されたのは完成目前の1編成目、その1号車・2号車の外観と3号車車内の様子です。JR九州は2022年秋頃の西九州新幹線開業までに、6両編成の「かもめ」を4本投入する計画を進めており、本編成は1月に長崎県の大村車両基地に搬入される予定です。

山口県の日立製作所 笠戸事業所でセレモニーが行われました

新たな「かもめ」のベースとなるのは、JR東海が開発した新幹線車両「N700S」です。東海道・山陽新幹線では16両編成で運行していますが、これを西九州新幹線用に短編成化し、6両編成としています。床下機器の小型軽量化などにより、6両や8両、12両といったさまざまな編成両数に対応できる「N700S」の汎用性が示されたかたちです。

短編成化を除く既存の「N700S」との大きな違いは、やはり「デザイン」でしょうか。担当したのはJR九州の「D&S列車(観光列車)」なども手掛ける、ドーンデザイン研究所 水戸岡鋭治代表取締役。

ドーンデザイン研究所 水戸岡鋭治代表取締役(写真左)とJR九州 青柳俊彦代表取締役社長執行役員(右)

新幹線車両は一つの究極形であり「何か一つ足すと重量オーバー、コストオーバー、ルールオーバーになってしまう」(水戸岡鋭治氏)という制約のなか、グラフィックデザインで九州らしさを表現しました。

エクステリアについては、車両下部にJR九州のコーポレートカラーである「赤」を入れ、目の覚めるような鮮やかな赤と白の配色で九州らしさを表現。車体側面には毛筆書体の「かもめ」やシンボルマークを配しています。

提案されたデザインは「真っ黒な車両」「真っ赤な車両」「赤と白の車両」の三つ。選ばれたのは最も無難なデザインだったそうですが、N9.4相当の白を使うのはかなり挑戦的。
車体側面。「KAMOME」のシンボルマークは西九州の三県をつなぐイメージだそうです。毛筆の「かもめ」は青柳俊彦氏自身の手によるもので、「(自分は)正しい書道家ではないと思いますけど、気持ちはどの書道家よりも込めた。美しく見えるのであれば、気持ちの表れだと思っていただければ」と語りました。
先端の「KAMOME」シンボルマークの周りに「NISHI KYUSHU SHINKANSEN KAMOME」「KYUSHU RAILWAY COMPANY」の文字。ヘッドライトは黒で縁取っています。「この先頭だけみて『N700S』だとわかる人はいない。それぐらいイメージが変わる」(青柳俊彦氏)

インテリアについても、3両の指定席車両それぞれで座席の紋様を変えるという気合の入れようです。今回公開されたのは「唐草」紋様の3号車のみですが、まだ公開されていない1号車は「菊大柄」、2号車は「獅子柄」といずれも落ち着いたデザインになっています。なお、4〜6号車の自由席車両は全て同じ配色となっています。

指定席車両である3号車の内観。座席の文様は「唐草」。JR九州の800系で使った座席をリデザインして持ち込んだとのこと。
3号車車内の「車いすスペース」 新幹線のバリアフリー整備基準は今年7月に新造された車両から適用されていますので、これは「かもめ」だけの特徴というわけではありません。

【参考】西九州新幹線「かもめ」の車両デザイン決定、1~3号車の内装に注目
https://tetsudo-ch.com/11654525.html
※2021年7月発表、1・2号車内観や4~6号車の車内イメージを掲載しています。

簡単にまとめると、新たな「かもめ」はJR東海が最新技術の粋を集めて作り上げた新幹線が「水戸岡デザイン」をまとった車両と言えそうです。JR九州の青柳俊彦代表取締役社長執行役員は、セレモニーや質疑応答の場で次のように語っています。

「『N700S』という車両は、非常時の際のブレーキ力を高めまして、すぐ止まれるようなものになっておりますし、外部電源が失われた際も自力走行ができるなど、最新鋭の機能を備えた車両となっております。そういった素晴らしい車両に水戸岡さんの九州らしさ、オンリーワンの車両を作ろうという思いが加わり、本日の『かもめ』の誕生となりました」

「クラシックでありモダンであり和であり洋である。居心地のいいデザインになっている。実際に座って乗っていただいて、体感していただければと思います」

特急から伝統ある「かもめ」の名を継承し、来秋から新たに走り始める西九州新幹線。日本、とりわけ九州は豪雨災害などに見舞われがちですが、「これを起爆剤にこれまでのもやもやを一気に吹き飛ばしてまいりたい」(青柳俊彦氏)という思いで運転の開始を準備中とのこと。来秋のデビューに期待がかかります。

余談ですが、JR九州高速船は来年1月に「QUEEN BEETLE」を使用し、この「かもめ」海上輸送の様子をウォッチするツアーを販売しています。取材時点ではまだ「空きがある」とのことでしたので、ご興味のある方はぜひご確認ください。

【参考】海上輸送中の西九州新幹線「かもめ」をウォッチング QUEEN BEETLEで特別遊覧コース
https://tetsudo-ch.com/12056977.html

記事:一橋正浩

※2021年12月27日10時48分……使用された塗料につきまして、初出時は「N9.5」としておりましたが、正しくは「N9.4相当」でしたため当該記述を修正いたしました。(鉄道チャンネル編集部)


LINEで送る

オススメ記事

こちらの記事もオススメです