京都鉄道博物館では、1月21日(金)から3月22日(金)まで、本館1階「車両のしくみ/車両工場」エリアにて、JR四国の観光列車「伊予灘ものがたり」を展示します。2021年12月27日にラストランを迎えた列車で、今回が最初で最後の展示です。

展示中の「伊予灘ものがたり」
この日は京都は大雪。雪と「伊予灘ものがたり」の組み合わせはレア
アテンダントに迎えられ入線

「伊予灘ものがたり」はJR四国初の本格的観光列車。今回展示されるのは2014年の7月26日にデビューした初代の編成です。デビュー以来約7年半にわたり、のべ14万5千人の乗客がこの列車で鉄道旅を楽しみました。

地域密着型の観光列車で、沿線の人たちが駅のホームはもちろん、畑や道などからも気軽に手を振ってくるようなアットホームな旅が楽しめるのが特徴。「オール愛媛」をテーマにした外観や内装は、JR四国の社内デザイナーがてがけました。

1号車「茜の章」の外観は伊予灘に沈む夕日をイメージした茜色。内装は一部に畳を使い、和の雰囲気を漂わせています。

1号車「茜の章」内部
畳があるとなんとなくほっとします
入り口に掛けられているのれんも愛媛産

2号車「黄金の章」の外観は、愛媛の柑橘や太陽をイメージした黄金色。内部はダイニングバーが併設され、レトロモダンな「洋」の雰囲気が楽しめます。

「黄金の章」内部
併設されたダイニングバー
アールデコ調のスチールの飾りがモダン

内装には、愛媛の名産のひとつである陶磁器「砥部(とべ)焼」も使用。県内の女性作家グループ「とべりて」の作品を使った洗面台は取り外しができ、季節に合わせた柄のものに変更できるようになっています。

陶磁器の洗面台がおしゃれ
車内で使用する食器も「とべりて」の作品

座席の配置にも注目です。海の眺めが楽しめるよう、海側座席は窓に向けたカウンター席に、山側の座席は床を一段高くして海側の車窓が見やすいようにしています。

山側は座席もやや海側に向けて設置されている

1月22日(土)と23日(日)の2日間はアテンダントによる車内案内も行われます。時間は両日とも11時、13時、14時、15時の4回。無料で参加できますが、事前に本館1階「車両工場/車両のしくみ」で配布される整理券が必要です。

実際に乗務していたアテンダントの話は必聴

今回の特別展示に合わせて販売されたグッズ付き入館券は発売翌日には完売しています。「それだけ注目されている展示。ぜひ見に来ていただければと思います」(京都鉄道博物館 前田館長)。

愛媛の観光案内と「伊予灘ものがたり」。手前が「茜の章」奥が「黄金の章」

展示エリアには、愛媛の観光案内や2022年春にデビューする二代目「伊予灘ものがたり」の紹介等も展示されています。また、展示期間中には、車内公開のほか、実際に「伊予灘ものがたり」から撮影した車窓の映像を展示車両の窓の外に映写する「体感!伊予灘ものがたり」などのイベントも予定されています。

記事:鶴原早恵子(写真は全て筆者撮影)