ちょい乗りシートからドア開閉ボタンまで 各停の通勤電車で快適性追求 阪神「ジェット・シルバー5700」の実力をみる【コラム】

2022.07.09

各停の通勤型電車ながら「ブルーリボン賞」受賞

ブルーリボン賞受賞を記念したラッピング(西宮駅)。ちなみに、阪神が同賞を受賞するのはジェット・シルバー5700が初めてです(写真:阪神電気鉄道)

阪神の新鋭車両、それが2015年にデビューした5700系電車です。各駅停車用通勤電車のジェット・シルバーは4両1編成で、本線と神戸高速線で運用します。

ジェットカーは、60年以上続く阪神各停電車の愛称名というかブランド。阪神は駅数が多く、各停がゆっくり走っていては、後からくる特急や急行に追いつかれてしまいます。

そこで、阪神は各停に高性能車両を投入してきた歴史を持ちます。初のジェットカーは1958年デビューの初代5001形電車でした。

鉄道ファンも、ジェット・シルバー5700の高性能を分かっています。通常は特急用車両や観光列車が受賞する鉄道友の会のブルーリボン賞を、2016年に受賞しました。

3種類のつり手を使い分けて握りやすさに配慮

3種類の高さを使い分けたつり手(写真:阪神電気鉄道)

車内設備のこだわりとして、つり手(つり革)が挙げられます。床面からの高さは1838ミリ、1618ミリ、1550ミリの3種類。ドア部は高く、車内に入ると通常の高さと、床面からの高さを下げたつり手を用意して、使い分けてもらえるよう工夫します。

さらに、つり手はドア部のマクラギ方向にも設置しています。最近の通勤車両は以前に比べつり革が増設され、混雑時もヨロけたりしなくなりました。

大型の袖仕切りで車内の圧迫感をなくす

ジェット・シルバー5700車内。やはり大型の袖仕切りが目を引きます(写真:阪神電気鉄道)

ジェット・シルバー5700は、シートにも新機軸があります。乗車してすぐ目に留まるのが、ドア部と座席を仕切る袖仕切り。画像で一目瞭然ですが、従来の鉄道車両に比べると、かなり大型です。形状もドア側からみると真ん中が山型に盛り上がっていて、ラッシュ時に寄りかかれそうです。

説明によると、大型の袖仕切りと、垂直のスタンションポール(金属パイプの手すり)に仕切り機能を持たせ、仕切りそのものは小型化して、車内の圧迫感をなくしました。中央部の山型は、予想通り腰乗せでした。

とはいっても、写真と拙文でご理解いただくのは限界も。関西の皆さん、そして全国の皆さん、次回の関西紀行の際は、ぜひ大阪梅田から神戸三宮まで、ジェット・シルバー5700で移動してみてください。

立ち上がりやすい「ちょい乗りシート」

ジェット・シルバー5700は、シートそのものも工夫しました。ドア横2席は、名付けて「ちょい乗りシート」。先述のように阪神は駅間が短く、各停の場合、短区間乗車する利用客が一定数います。

そこで阪神がひねり出したのが、立ち座りしやすいシート。座面を通常のシートに比べて3センチほど上げ、前端部をわずかに傾斜させ、立ち座りしやすくしました。

乗客は、気付かないかもしれません。でも写真でみると、隣接する一般シートとの違いがよく分かります。

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