ちょい乗りシートからドア開閉ボタンまで 各停の通勤電車で快適性追求 阪神「ジェット・シルバー5700」の実力をみる【コラム】

2022.07.09

快走するジェット・シルバー5700。ボディーはステンレス無塗装を基本に、前照灯まわりやドア部に新色のカインドブルーを配しています(写真:のりえもん / PIXTA)

関西紀行の〝乗り鉄コラム〟第2弾。大阪・梅田と神戸三宮、元町を結ぶ阪神電気鉄道の新鋭電車「ジェット・シルバー5700」(阪神5700系)を取り上げます。

鉄道に関心ない方は、「最近の電車はどれも一緒」と思っているかもしれません。確かにデザインは似ていなくもありませんが、細部に目をこらせば鉄道事業者のこだわりが見てとれます。

本コラムで取り上げるジェット・シルバー5700は、立ち上がりやすさに配慮した「ちょい乗りシート」、3タイプの高さを使い分けるつり手(つり革)、乗客が操作できる「ドア開閉ボタン」をはじめとした新機軸が満載です。乗車時の印象や車両プロフィールの資料から、阪神の快適性追求へのこだわりを解き明かします。

「西へ東へ、キタへミナミへ。」

最初に阪神の路線ネットワークについて説明します。会社のキャッチフレーズは、「西へ東へ、キタへミナミへ。」です。関西圏の鉄道は関東に比べ、相互直通運転区間が少ないことはファンの皆さんならご存じでしょう。その例外が阪神。阪神電車は西代から山陽電気鉄道(山電)に乗り入れて山陽姫路まで直通運転します。

さらに阪神なんば線は、大阪難波から近畿日本鉄道奈良線に直通。近鉄奈良に直行します。まさに「西へ東へ」です。

「キタへミナミへ」について、余計な説明は不要でしょう。キタは梅田・JR大阪駅、ミナミは難波・心斎橋界隈。線形はY字形の若干変形ながら、阪神はキタとミナミの双方に路線を持つ唯一の私鉄です(JRやOsaka Metroを除く)。

本線、阪神なんば線、武庫川線、神戸高速線の4路線

阪神の路線は本線(大阪梅田―元町間32.1キロ)、阪神なんば線(尼崎―大阪難波間10.1キロ)、武庫川線(武庫川―武庫川団地前間1.7キロ)、神戸高速線(元町―高速神戸―西代間5.0キロ)と比較的シンプル。阪神なんば線の一部区間は西大阪高速鉄道、神戸高速線は神戸高速鉄道が線路を持っていて、阪神は両社の路線に第2種鉄道事業者として乗り入れます。

営業キロは、2種区間を含めても50キロ足らず。阪神はレジャー事業や不動産業の売り上げが鉄道事業をしのぎ、専門家の目で見れば何の会社? の一面もありますが、看板は鉄道。早くから総括制御や密着式連結器といった新技術を採用、阪神間を疾走する阪神電車に、魅力を感じるファンは少なくありません。

次ページ各停の通勤型電車ながら「ブルーリボン賞」受賞


LINEで送る

オススメ記事