既存のクルマやバスにあと付け自動運転システムを搭載し、それぞれのニーズにあわせた自動運転を実現させる唯一の研究・開発を展開する、埼玉工業大学。

そんな埼玉工業大学で、日野レインボーIIベースの大型自動運転バスが、実用化に向けてまた前進。

―――埼玉県深谷市にキャンパスを構える埼玉工業大学は、地元の深谷観光バスと協力し、大学の最寄り駅 JR高崎線 岡部駅と大学の間のスクールバスに、日野レインボーIIベースの大型自動運転バスを一部の運行に導入。

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この埼玉工業大学 自動運転スクールバスに同大学学生が乗ることで、「自分の通う大学の先進的な研究・開発の成果」と「同大学のAI技術の応用」を体験・体感できる。

実証実験や地元路線バス自動運転で実績を重ね、いよいよスクールバスへ

この埼玉工業大学 日野レインボーIIベース大型自動運転バスは、深谷観光バスと共同で、昨年「渋沢栄一論語の里循環バス」として、全国に先駆けて営業運行を実現。

今回の自動運転スクールバスは、約1.6kmの公道を法定速度内の最高40km/h以下で走行。ドライバーは乗車するものの、ハンドルとアクセル・ブレーキは自動運転システムが制御して走る。

運行期間・日程は、9月19日~12月23日の毎週 月・金曜日。10月14日~11月21日は、この自動運転スクールバスが他の地域での実証実験に参加するため運休する。

運転時間は、岡部駅(南口) ⇔ 大学発 10:30~14:45 の1日9便。着座での運行が条件で、乗車定員は22名。埼玉工業大学 学生だけでなく、来学する一般の人や関係者も乗車できる。運賃は無料。

◆自動運転スクールバス案内サイト
https://sites.google.com/view/saikobus/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0

さまざま条件がある全国各地の実証実験で走行実績を重ね、進化

埼玉工業大学 自動運転技術開発センターが開発する日野レインボーIIベース大型自動運転バスは、2021年2月に放映が開始されたNHK大河ドラマ「青天を衝け」にあわせ、「近代日本経済の父」といわれる渋沢栄一ゆかりの地である「論語の里」を訪問する見学者の足として実際に自動運転で営業運転をスタート。

放映期間を含む2021年2月16日~2022年1月10日の間、『渋沢栄一 論語の里 循環バス』として、日野リエッセIIベースの自動運転マイクロバスとともに、合計約1万km(計10554.5kmの内9531.5kmが大型自動運転バス)の自動運転走行実績を記録。

AI技術を積極的に採用しつねにアップデートしている埼玉工業大学 自動運転バスは、急坂や急カーブ、GPS が届きにくい閉鎖空間、悪路や凹凸路面など、さまざま条件がある全国各地の実証実験で走行実績を重ねてきた。

こうした実証実験で得た豊富な経験とノウハウを活かし、一般公道を法定速度で走行するまでにアップデートしてきた。

実際の走行では、自動運転システムによる自動運転と、ドライバーによる手動運転を即時に切り替えることで、交通の状況に応じた安全な走行に対応できる点も特長のひとつ。

あと付け自動運転システムの開発で独自の進化、実用化へ

埼玉工業大学が開発した、あと付け自動運転システム搭載 日野レインボーIIベース大型自動運転バスは、Autoware を採用した自動運転の実証実験用車両で、路線バスとして営業運行するために緑ナンバー(業務用)を取得している点も特長。

Autoware をジョイスティック車(ミクニライフ&オートから販売されている障がい者向け車両)として架装された車両にカスタマイズする形で開発された自動運転AIを搭載し、AIによる障害物の検知(識別・分類)機能を強化し、複数の LiDAR やカメラの画像情報をディープラーニング(深層学習)で周囲環境として AI 認識し、障害物を回避して走ることもできる。

埼玉工業大学はこうした実績から、埼玉県先端産業創造プロジェクトのスマートモビリティ実証補助に2年連続で採択され、令和3年度埼玉県デジタル技術活用製品開発費補助にも採択された。

今後もこれら埼玉県の補助とミクニライフ&オート(埼玉県加須市)などの技術協力を得ながら、産学官連携で自動運転バスの実用化をめざしていくという。

◆埼玉工業大学 自動運転
https://saikocar.sit.ac.jp/

◆埼玉工業大学
https://www.sit.ac.jp/