273系「やくも」デザインイメージ(画像:JR西日本)

岡山と山陰地方を結ぶ伯備線特急「やくも」――

JR西日本は「やくも」に使用している381系を置き換えるため、「車上型の制御付自然振り子方式」を採用した273系特急形直流電車を開発しています。投入は2024年春以降の予定です。

2023年1月時点では、ブロンズを基調とした車体カラーや「雲」をイメージしたシンボルマークのデザイン、JR西日本の特急車両らしい前面形状といった外観、車内インテリアなどが発表されています。デザインは、「WEST EXPRESS 銀河」で有名な株式会社イチバンセンの川西康之さん、そして近畿車輛株式会社デザイン室が監修します。

ADVERTISEMENT

<鉄道チャンネル 関連記事>
特急「やくも」新型車両のデザインが決定!2024年春以降に営業運転開始
https://tetsudo-ch.com/12785770.html

JR西日本グループのアプリ内で情報発信

この273系について、意外なところで深掘り情報が発信されていました。出所はJR西日本イノベーションズが提供する「Railil(レイリル)」です。ユーザーが鉄道写真を投稿して交流するという趣旨のSNSアプリですが、実はユーザー専用の鉄道コラムも充実しており、JR西日本の鉄道現場の裏側などがたびたび紹介されています。

ここに1月11日・12日の2日間にわたり、写真家の村上悠太さんが執筆した273系新型「やくも」のモックアップ検証(※)の取材記事が掲載されていたのでした。

※実物大の試作品で車内を再現し、実際に座席に座ったり移動したりすることで、デザインや使用感の検証・確認、課題の抽出などを行うものです。

まだ誰も見たことのない273系の車内を再現(写真:村上悠太)

記事内には273系の「グループ向け座席」や、グリーン車・普通車に採用される予定の座席のプロトタイプの写真などが掲載されており、各方面のプロフェッショナルがどのような意図を込めて車内デザインを決定していくのか、という議論の様子を垣間見ることができます。さりげに普通車のシートピッチが新幹線クラスの1,040ミリになった理由なども触れられており、なるほどそういうこと……と納得がいきました。

鉄道ファン的には「紫のスーパーやくも」塗装の登場などで今とても注目が集まっている時期なので、新型の情報を気にかけている人も多いはず。こういう大事なことはもっと宣伝しようよ!!!!ということでJR西日本イノベーションズに連絡を取り、担当者の許可をいただいてここにご紹介させていただいた次第です。

ただし、「Railil(レイリル)」は現在iOS版のみリリースされており、Androidユーザーは現状では鉄道コラムを読むことはできません。同社担当者によると、Android版の開発に関しても社内で議論が進んでいるそうで、待ち遠しい限りです。

「Railil(レイリル)」ではこうした鉄道コラムのほか、ユーザー限定の特典としてオンライン体験や豪華鉄道グッズの提供、アプリ内のタグ機能を活用したハッシュタグキャンペーンなども展開されているそうです。また月1回ほどのペースでリアルイベント(オフ会)を開催しており、過去にはJR西日本本社や関西工機整備で開催されました。鉄道写真そのものにあまり興味がなくとも、こうした裏話やJR西のイベントに興味がある、という方はインストールしておくと良いかもしれません。