アート引越センターのシンクタンク「0123引越文化研究所」が、従業員規模300人以上の企業で、総務・人事など転勤に関わる業務に携わっている会社員322名に対し、自社の転勤(引越のともなう人事異動)に関する調査を実施。

転勤に対する現在の企業の取り組みや制度の実態をはじめ、1999年に発表した同調査との傾向の違いや、転勤に関する今後の意向についても公表。その気になる結果をみていこう↓↓↓

年間の人事異動の実施回数は、「毎年2回実施」(29.2%) が最も多く、次いで同率で「毎年1回実施」と「毎年3回以上実施」(共に23.0%)の順に。

ADVERTISEMENT

1999年発表の同調査と比較すると、「毎年3回以上実施」が23.4ポイントも減少し、年間の人事異動の頻度は減少傾向。

人事異動の最も多い月は4月(68.0%)で、次いで10月(36.3%)、3 月(19.3%)、9 月(17.7%)の順。

1999年に発表した調査と比較しても、4月と10月の人事異動が突出して多い傾向に大きな変化がないが、他の月は減少している。

赴任手当は、単身世帯に71.4%の担当者が支給していると回答、その平均額は約9.3万円。

家族世帯への手当は67.7%が支給していると回答しており、その平均額は約13.1万円。

なおどちらの平均額も、1999年発表の調査時の平均額よりも金額が下がっている。

※1999年発表の調査では単身赴任手当平均額 約10.4万円 / 家族赴任手当平均額 約21.2万円

引越費用は、単身引越へは70.2%の担当者が支給していると回答、その平均額は約1.4万円。

家族引越には69.3%が支給していると回答しており、その平均額は約17.3万円。

なおどちらの平均額も、1999年発表の調査時の平均額よりも金額が下がっています。

※1999年発表の調査では単身引越費用平均額約16.9万円 / 家族引越費用平均額約41.3万円

転勤者への支援策は、91.3%が転勤者への支援を何かしら実施しており、最も多いのは「赴任旅費」(59.0%)。次いで「単身赴任手当」(47.8%)、「家賃補助」(47.2%)、「社宅・寮の提供」(45.7%)の順に。その他にも数多くの支援が実施されている。

転勤に関する特例制度については52.5%の担当者が転勤に関する特例制度を設置していると回答。

内容として「介護特例」(28.6%)が最も多く、次いで「育児特例」(27.6%)、「出産特例」(24.2%)、「結婚特例」(20.5%)の順。

転勤者を選ぶ際に家族構成は影響しているか?という点では71.7%の担当者が影響していると回答。

内容は既婚者よりも未婚者のほうが優先されやすい(60.2%)が最も多く、次いで、子どもがいない人のほうが優先されやすい(37.2%)という結果に。

転勤者を選定する際にどの程度本人の希望や意思を反映させるかという点では、「本人の希望や意思をかなり反映している」・「どちらかといえば反映している」と答えた人は計44.8%。

1999年の同調査では計22.6%だったため、およそ倍に増加し、以前よりも本人の希望や意思を尊重する傾向。

また会社都合を優先と答えた人の割合は1999年に比べて計23.7ポイントも減少していた。

転勤にともなう社員からの相談事はありますか?という質問に対しては72.0%の担当者が転勤者からの相談事はあると回答。

その内容としては「転勤先の住居問題」(48.7%)が最も多く、次いで「仕事内容」(46.1%)、「職場環境」(44.0%)の順。

なお1999年に発表した同調査では「転勤先の住居問題」(75.1%)、「引っ越しの問題」(63.9%)、「転勤形態」(44.2%)となり、また全体的にも相談内容の傾向が変化している。

転勤に対する社員の反応については「変わらない」(40.7%)が最も多く、次いで「少しネガティブに変わった」(20.8%)、「少しポジティブに変わった」(20.5%)と続く。

どちらかというとネガティブの方に寄っている傾向だが、ポジティブにとらえる社員も一定数いる。

社員自ら希望する転勤の数は増えてきているのか?という質問では、「変わらない」(41.6%)が最も多く、次いで「やや増えてきた」(16.1%)。

転勤をポジティブにとらえる傾向を考慮すると、自ら転勤を希望する人が今後も増えるかもしれない。

転勤の辞令をきっかけに退職した人は「多い」(8.7%)、「たまにいる」(48.1%)となり、合計で56.8%と半数以上が転勤をきっかけに退職した人がいたという結果に。

転勤の有無は、新卒・中途等の採用活動に「大いに影響している」(15.5%)、「少し影響している」(36.0%)と、合計で51.5%が採用活動に影響を感じているという結果に。

2023年春の転勤者数は2022年春と比べて49.1%が「変わらない」と回答。

増えるとした人は計22.7%に対し、減るとした人は計13.3%となり、全体的にはやや増える傾向が見られた。

今後の転勤者数の増減については、46.6%が「変わらない」と回答した一方、増えるとした人は計22.0%に対し、減るとした人は計16.7%となり、全体的にはやや増える傾向。

withコロナが定着した昨今、転勤を控えてきた企業が転勤を増やす兆しかもしれない。

転居をともなう転勤の制度や内容については37.9%の担当者が転勤の制度や内容を見直す予定、または既に見直した実績が「ある」と回答した。

今後の転勤における赴任手当や引越費用の支給額は、47.5%が「変わらない」と回答した一方、「増える」または「やや増える」とした担当者は計24.5%に対し、「減る」または「やや減る」とした担当者は計10.8%と、全体的にはやや増える傾向。

こうした結果は、現在の市況における物価高が影響しているのかもしれないという。

0123引越文化研究所をリニューアル

アート引越センターは、昨今の社会情勢の変化に合わせ、自社のシンクタンク「0123引越文化研究所」(https://www.the0123.com/kenkyu/)をリニューアル。

0123引越文化研究所は、「引越」を生活文化の側面からとらえたさまざまな研究活動を推進するとともに、「引越」に限らず、さらに幅広い分野において「人・夢・暮らし」についての情報収集、研究分析活動などを多様な角度から展開中。

具体的には、アンケート活動を主体とした実態調査、消費傾向や関心事、現状の問題点などの把握と分析などに幅広く取り組んでいる。

また、調査・研究結果については、アートグループの取り組む多様な生活サービスの質的向上に活かされるだけでなく、ユーザーが有意義に役立つよう、広く社会還元を図っていくという。