浅草駅に到着する東武新型特急「スペーシアX」

東武鉄道の新型特急N100系「スペーシアX」の報道陣向け試乗会が6日に行われ、浅草から東武日光駅間を運行した。日光市内では車内で提供するメニューの試食会や、創業150年を迎える日光金谷ホテルの別館改修工事の様子なども紹介された。

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「スペーシアX」は10時16分ごろ、浅草駅の4番ホームへ入線。記者はまず3号車のスタンダードシートに座り、その滑らかな走りを楽しんだ。そのシートピッチは東武特急「リバティ」より100mm広く、座り心地はやや固めながらしっかりと腰を捕まえてくれる。コンセント装備もありがたく、移動中の充電も心配ない。ビジネス利用でも上質な体験を与えてくれるだろう。

「スペーシアX」スタンダードシート

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プレミアムシートの座り心地はランバーサポートを備えたゲーミングチェアのようで、バックシェル構造のおかげでリクライニングの際も後ろを気にする必要がない。読書灯などの設備は新幹線のグリーン席さながらだ。

「スペーシアX」プレミアムシート

プレミアムシートで特に気に入ったのは、手で形状を変えられるネックサポート式可動式枕だった。乗車中に首の動きが固定されるのはどこか新鮮で、慣れると枕のない座席に不満を覚えてしまいそうだ。スタンダード・プレミアムの両シートは、令和の東武特急に相応しくグレードアップしており、2時間弱の旅路も全く苦ではない。

ネックサポート式可動式枕で首を固定できるのが特に気に入った

鉄道ファン向けに楽しそうなのは、やはり1号車「コックピットラウンジ」(日光方)と6号車「コックピットスイート」(浅草方)か。運転台の向こうに広がる展望はスタンダード・プレミアムシートの旅では味わえないワクワク感をもたらし、これから観光地へ向かうのだという気分を醸成してくれる。コンパートメントは防音性能がしっかりしており、扉を閉じた瞬間の静けさに「個室」にいるのだという感覚が一層高まった。

旅程の半ばで春日部駅に到着したときは、長いホームに佇む通常の利用客らがスマートフォンから顔を上げたのが印象に残った。「スペーシアX」の外観的な特徴、胡粉を彷彿とさせる上品な白い車体も、ひとたび乗車してしまえば降りるまで意識することはないと思っていた。しかしこうしてホームに入線すると、乗客の反応で改めてその白い車体の美しさを思い出させられる。

日光ではレストランGirouetteで、「スペーシアX」車内で販売する飲食の試供品が提供された。クラフトビールやアペタイザーは、日光到着前に満腹にならないように軽めで上質なものが揃っている。特に美味しかったのは伊澤いちご園の「酒粕のバターサンド」で、名前にある通り酒粕が混ぜられている。我々が普段食べるようなバターサンドと比べ、クリームがたっぷりと含まれており、スイーツ好きには特におすすめしたい。ホットコーヒーとの相性も抜群だろう。

東武100系 特急スペーシアの正統進化版とも言える「スペーシアX」は2023年7月15日にデビュー。東京都台東区の浅草と、栃木県の有名観光地である「日光」「鬼怒川温泉」を結び、毎日2往復、木・金・土休日には4往復する。特急券は2023年6月15日(木)9時から発売(乗車日の1か月前の9時~)。東武線各駅の駅窓口や券売機、旅行会社ほか、インターネットの特急チケットレスサービス、特急券のインターネット購入・予約箇所でも取り扱う。

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